日産の新型T33エクストレイルが、発売開始後2週間で受注12,000台を超えたという。日産渾身の新型SUVだけに、関係者もほっと胸をなでおろしていることだろう。だが国内日産のSUVラインアップは、2020年に導入されたキックスとこの新型エクストレイルのみであり、できればもう一モデル、キックスよりも小さいコンパクトSUVが欲しいところ。
日産は、インドで、「マグナイト」という小型SUVをラインアップしている。同国の日産ラインアップでは初となる全長4m以下のモデルで、インド市場のニーズに合わせて開発されたモデルだというが、マグナイトは、日本でもヒット間違いなしの実力あるモデルだ。マグナイトの詳細をご紹介しつつ、マグナイトが日本でも売れると思う理由について、述べていく。
文:立花義人、エムスリープロダクション
写真:NISSAN
ライバル不在の爆売れモデルと同じようなサイズ感
全長4m以下のSUVといえば、日本では、ダイハツ「ロッキー」/トヨタ「ライズ」が大人気となっている。2019年11月の発売開始から2年以上が経ったいまも、2022年1〜6月の新車販売台数はライズが4万5,380台、ロッキーが1万808台と、コンパクトSUVの中で、いま一番売れているモデルだ(ヤリスクロスは4万台を少し上回る程度)。
ロッキー/ライズ人気のポイントは、小さく扱いやすいボディサイズ(全長 3995mm×全幅 1695mm×全高 1620mm、ホイールベース2525mm)でありながら、SUVらしい力強さのあるデザインをもつことと、充実した装備、そして、狭さを感じさせない絶妙なパッケージングだ。また、これといったライバルがいないことも、ロッキー/ライズの人気に拍車をかけている。ロッキー/ライズと同様となる5ナンバーサイズのSUVとなると、スズキ「クロスビー」か「ジムニーシエラ」ぐらいだが、これらはキャラクターが異なるためガチンコのライバルとは言い難い。
マグナイトのボディサイズは、コンパクトSUVの「キックス」よりも小さい、全長3994mm×全幅1758mm×全高1572mm、ホイールベースは2500mm。このまま日本に投入されると、全幅が1700mmを超えるため3ナンバーサイズとなってしまうが、最小回転半径は5.0mと、ロッキー/ライズ(4.9m〜5.0m)とほぼ同じ。日本の道路事情でも使い勝手が良く、運転に慣れていない人にとってもありがたい小回り性能だ。さらにマグナイトは、最低地上高205mmと、ラフロードにも強い。日産には「キックス」というコンパクトSUVがあるが、「もっと小さいサイズがいい」と思っている人が多くいることは、ロッキー/ライズの売れ行きをみればわかる。
コンパクトながら大胆で存在感あるデザイン
コンパクトSUVはボディサイズやパッケージングの制約があるため、大胆なデザインコンセプトを反映しにくく、無難なデザインになりやすいのだが、マグナイトのエクステリアデザインは、コンパクトながら大胆で存在感があり、非常にかっこいい。
流行りの大きめのグリルを構え、それをぐるりと囲むように配置されたクロームのガーニッシュが全体の印象を強めている。シャープなヘッドライトとその下部にあるL字型のデイタイムランニングライトもスマートで、パッと見の印象が素直にカッコいい。
リアも、高めに配置されたコンビネーションランプと立体的な造形のバンパーで、若々しさや力強さがよく表現されている。実際にライズより50mm以上幅が広いこともあり、安定感やバランスという意味ではマグナイトの方が力強く感じられる。
新型エクストレイルやキックスが「高品質」を狙っているのに対し、汚れを気にせずガシガシ使えるような「タフでユースフル」なコンパクトSUVは、日本市場でもきっと受け入れてもらえるはずだ。
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