イタフラ系ブランドが集まっているステランティスの主要ブランドであるフィアット。日本ではチンクエチェントのイメージが強いかもしれないが、じつは幅広いラインナップが揃っている。
先ごろ、欧州で人気の商用バン「デュカト」を日本で売るための販売ネットワークが発表された。調べてみると、ターゲットとするのは商用車市場ではなく「あの」業界。どんな戦略を持っているのか、レポートしよう。
文/山本晋也、写真/フィアット・プロフェッショナル
【画像ギャラリー】押しの強さはアル/ヴェル並みかも! フィアット・デュカトの詳細をチェック!(19枚)画像ギャラリーハイエースとは対極のFF商用バン
欧州では大ヒットモデルなのに日本では意外に知られていないフィアットのラインナップといえば思いつくのが、商用車の「DUCATO(デュカト)」シリーズだろう。ちょこんとしたノーズを持ったスタイルはコンパクトにも見えるが、もっとも短い仕様でも全長5mを超える商用バンだ。
このカテゴリーの商用車として初めて自動運転レベル2機能を実装するなど、意欲的なモデルで、欧州では同カテゴリーで約70%のシェアを占めているという人気モデルでもある。圧倒的人気の商用バンという意味では、欧州におけるトヨタ・ハイエースのような存在といってもいいかもしれない。
もっともハイエースがかたくなにリア駆動を採用しているのに対して、デュカトは前輪駆動であることがアイデンティティとなっている。日本では商用バンで前輪駆動と聞くと、多くの荷物を載せたときにトラクションが抜けてしまうのでは? と心配してしまうかもしれない。
しかしフィアットの「オールフォワード」アーキテクチャーの長い伝統はそうした心配を杞憂とばかりに吹き飛ばす。むしろ前輪駆動ゆえに荷室高を稼ぐことができ、またアレンジの幅が広いというメリットのほうが際立つのだ。
キャンピングカーとして日本に上陸!
そんなフィアット・デュカトが、ついに日本に上陸する。
2022年2月の段階で、フィアットの商用車部門であるフィアット・プロフェッショナルによって日本で販売する計画が進んでいることが発表されていたが、9月15日に日本でデュカトを扱う販売ネットワークが発表された。それが、以下の5社だ。
・株式会社ホワイトハウス(愛知県名古屋市)
・株式会社アールブイランド(茨城県常総市)
・株式会社岡モータース(香川県高松市)
・株式会社トイファクトリー(岐阜県可児市)
・株式会社ナッツ(福岡県遠賀郡)
各社の名前を見て共通点に気付くのは、とある業界の事情通かもしれない。そう、いずれも著名なキャンピングカー・ビルダーとして知られる会社なのだ。
フィアット・デュカトはキャンピングカーのベースとして日本に上陸したのである。
以前から、欧州で製作されたキャンピングカーの多くがフィアット・デュカトを素材としていた。デュカトを選んだビルダー(キャンピングカーの世界では製作者をそう呼ぶ)はイタリアに限らない。ドイツのビルダーもデュカトをベースにキャンピングカーを作り上げ、日本でも販売されていた。
ただし欧州製のキャンピングカーは、どうしても左ハンドルのまま輸入されがち。今回、正規輸入されるデュカトは日本にローカライズされた右ハンドル仕様となるし、様々な法規にもメーカーが合致させた仕様となるはずで、使いやすくなっていることが期待できるのが魅力だ。
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