新型クラウンの賛否検証「すごくクラウンらしいところ」と「ここはクラウンっぽくない」を実車試乗で確認!!

新型クラウンの賛否検証「すごくクラウンらしいところ」と「ここはクラウンっぽくない」を実車試乗で確認!!

 20年前の「ゼロクラウンの衝撃」を超える大改革となった、16代目となる新型クラウン。歴史と伝統のあるクラウンブランドのニューモデルは、これまでのクラウン方程式を、大きく逸脱した内容での登場となった。

 しかし、「クラウン」を名乗る以上、ユーザーからは「クラウンらしさ」も求められるはず。新型クラウンクロスオーバーはちゃんと「クラウンらしさ」を備えているのか!?? 

 新型クラウンクロスオーバーの2.5Lのハイブリッド「Gアドバンスレザーパッケージ(税込570万円)」に公道試乗し、実車をチェックすることができたので、その様子をお伝えしつつ、新型クラウンクロスオーバーが「クラウンらしさ」を備えているのか、についても考えていく。

文:吉川賢一
写真:TOYOTA、ベストカーWEB編集部/撮影:池之平昌信

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新型クラウンの開発は、歴代クラウンの思想を学び直すところから始めた

 新型クラウン開発主査の皿田明弘氏によると、今回の16代目クラウンの開発は、歴代のクラウン開発責任者がクラウンに込めた思想を学び直すことから始めたそう。なかでも初代クラウンの思想に大きく影響を受けたという。

 初代クラウンが登場したのは、終戦から数年後の1955年。海外OEMが主流の時代にあって、トヨタは独自の純国産技術で、国産初の乗用車を「ゼロ」から完成させた。乗用車専用のシャシー、ダブルウィッシュボーン式フロントサス、オートマチックトランスミッション(「トヨタグライド」1.9L車用)、観音開きドアの採用などによって、本格的な乗用車としてつくられたのが、初代クラウンだ。1958年にはアメリカへの輸出にも挑んだという。

 「日本で、日本人が乗るための乗用車をつくり、乗用車を、要人や一部の富裕層だけのものではなく、一般庶民へも広げ、人々の暮らしを豊かにしたい」というのが、トヨタの創業者、豊田喜一郎氏が抱いた情熱。そのための「挑戦」をすることが、初代クラウンに込められた思想だったそうだ。

クラウンらしさは「挑戦する」思想にある

 「クラウンらしさ」といっても、世代によって、思い描くクラウンの像は様々だ。1960年代や70年代の古きクラウンを思い浮かべる方もいるだろうし、2000年代のゼロクラウン(12代目:2003年~)や、先代のクラウン(15代目:2018年)を思い返す方もいるだろう。ただ、いずれの時代も、クラウンは「FRの高級セダン」であった。

 しかし、今回の新型クラウンでは、「挑戦」という初代クラウンの思想に立ち戻ることで、その既成概念を取っ払ってしまった。それだけに「これはクラウンではない」と思う方もいるだろう。

 しかしクラウンは、時代が移り変わる中で、常に最先端技術が取り入れられ、高級感あふれるデザインと乗り味で、常に日本人にとって「憧れのクルマ」であったはず。それには必ず「挑戦」が伴っており、クラウンらしさを突き詰めれば、常に挑戦していく、ということにたどり着くのだろう、と納得させられる。

デザインの挑戦を最新技術でカバーしたエクステリア

 そのうえで、今回新型クラウンクロスオーバーをみていくと、エクステリアデザインや乗り味には、見事に「挑戦」が見られる。過去のクラウンにはない大径タイヤを装着し、リフトアップしたスタイリングは、平凡なセダンとは違って、艶やかで色気に溢れている。

 技術的にも、大径タイヤの弱点であるバタつきを、車体補強やサスペンション技術などでしっかりと抑制しており、また、空力的に不利(リアのリフトが大きくなる)となるリアテールエンドのスラント形状も、フロア下のアンダーパネル(洗濯板のように複数の段差をつけた新形状)によってリフトフォースを抑制するなど、デザインの冒険を最新技術でカバーするという、良いループが完成しており、新型が挑戦した跡がはっきりうかがえる。

 レーンチェンジや大R切り増しの操作においても、背高にしたことでの不安な感じはない。路面のうねりを受け、上下に動くボディモーションはやや大きめだが、足がよく動いて常に接地する。後席シートエリアも広く、静粛性が高くて快適だ。高級車としてふさわしい走行性能のポテンシャルを秘めている、といえる。

次ページは : しかし「G」グレードでは、内装での挑戦が見られない

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