■クルマの楽しさ感じファンになる
イベントの主軸は、来場者がクルマに乗って体験するところにある。インターナショナルレーシングコースをはじめ、SUGOの広大な敷地全体が、クルマを使ったアミューズメントパークになるのだ。
GR86やGRスープラ、MIRAIをはじめ、人気のハリアーやランクルなどのSUV、レクサスやフォルクスワーゲンの人気モデルがズラリと並ぶ「サーキットクルージング試乗」では、来場者が自らステアリングを握り、レーシングコースをクルージング走行できる。
ランクル300やプラドで急斜面の登坂や車両が30度傾く丸太越え、車輪を浮かせながらモーグルコースを走破する「四駆モーグルキット同乗体験」も人気のコーナーだ。
四駆モーグルキット同乗体験を終えた家族に話を伺った。普段はジムニーに乗り、山道を走行するという。
興奮冷めやらぬ様子で「大きなクルマになると、こんなにも安心感が違うのかと感心してしまいました。こういう体験ができる機会は少ないので、毎回楽しみにしています。今回で3回目の参加です」と語ってくれた。
この他にも、大人から子供までが体験し、楽しめる企画が紹介しきれないほどある。
そして、来場者の中から抽選で選ばれた数名が、プロレーシングドライバーの横に同乗して全開走行を体感できる「プロドライバー同乗体験」と、プロドリフトチームのチームオレンジが特設コースを駆け抜ける「ドリフトタクシー同乗体験」は毎年の目玉企画だ。
実際に同乗した人はもちろんだが、ド派手なドリフト走行や、市販ノーマル状態のGR86、GRヤリス、ゴルフRなどが、プロの技でレーシングコースを駆け抜ける様子は、見ているだけでも楽しい。
同乗体験を終えた小学生は「いつもの家のクルマとは違って、凄い横に振り回された。とても楽しかったから、またトヨタに行きたい」とキラキラした目で話してくれた。
来場者の多くは、クルマの新しい魅力を感じて帰路に就く。「またトヨタに行きたい」と語った小学生は、既に宮城トヨタグループのファンになっている。楽しい思い出と宮城トヨタグループの存在を、しっかりと紐づけているのだ。
数字や時間などの実績にとらわれず、イベントに関係する全員が、クルマの楽しさを再認識する。こうした姿勢がファンを作り、ファンは将来のディーラーを支える存在となるだろう。
■生の情報が魅せる営業に繋がる
イベントの目的は、ファンづくりだけではない。社員を対象にした、楽しい実地研修の場でもあるのだ。
休憩時間を使って、レーシングドライバーやカスタマイズメーカーの担当者とMTG社員が談笑する姿が数多く見られた。社員がクルマを楽しむ機会につながり、生の情報は自信をもってお客様へ伝えることができる。社員がクルマのファンになることで、ファン作りの活動も、より深みを増していく。
また、全国各地のモータースポーツイベントに参加するプロレーシングドライバーの田ケ原章蔵氏は、今回参加したMTGモーターフェスティバルについて次のように語る。
「様々な企業が主催するイベントに参加するが、MTGモーターフェスティバル以上に、主催企業側が収益を考えていないイベントは見たことが無い。
全国でも類を見ない取り組みで、お客様への愛情とファン作りへの注力度合いがよくわかる。クルマの可能性をより身近に感じてもらうためには、こうした活動が全国に広がってほしい。」
日常生活に欠かせない「クルマ」を様々な方法で魅せる。イベントではもちろんだが、宮城トヨタグループ各店舗では、通常営業からクルマを魅せる意識が強い。そして宮城トヨタグループのファンを作る前段階として、お店のファン、スタッフのファンを作り上げるのだ。
さらに子供のファンを数多く作り上げているのが、宮城トヨタグループの凄いところ。十数年先の未来へむけて、ファン作りをスタートさせているのだろう。
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同様の大規模イベントを全国各地で行うことは難しい。しかし、ディーラーがお客様に対して、宮城トヨタグループと同じような、思いを伝えることはできるはずだ。日本のクルマを支える大切なユーザーのために、最も近くにいるディーラーがやるべきことは数多くあると思う。
ポイントは「お客様」ではなく「ファン」を作ること。これが販売会社の地力を高め、強い自動車ディーラーを作っていくはずだ。
【画像ギャラリー】ディーラーの存続には「お客様」ではなく「ファン」を増やすこと!! 宮城トヨタグループの取り組み(5枚)画像ギャラリー
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