なぜ繰り返される? どう防止する? 飲酒運転をなくすためにできること

■自動車メーカーの動きと対策、その現状とこれから

 自動車業界の動き、何か対策などはないのだろうか。

 一部紹介するとまず日産。2007年に飲酒運転防止コンセプトカーを発表。①ドライバーがシフトレバーを触ると、組み込まれた臭気センサーがアルコールを検知。検知したらシフトロック。②シート周辺に臭気センサーがあり、検知したらナビ画面で警告する。③カメラでドライバーの顔をモニターし、覚醒度を判定……というシステムだが、現在は開発停止状態という。

日産の「飲酒運転防止コンセプトカー」。

日産の「飲酒運転防止コンセプトカー」。機能の一部がこれ。メーター内のカメラでドライバーの顔をモニターし、覚醒度(飲酒、居眠り)を判定。“クロ”の場合は音声で警告、自動操作によりシフトロックされる機能も

 だが、日産では現在もアメリカの「血中アルコール濃度」に関する官民共同プロジェクトへ参画し、飲酒運転防止装備の開発は、対象者を絞り、業界、学識経験者と論議している状況。

 またボルボでは2010年頃、アルコール検知器を研究、開発。一般的なアルコールチェッカーと同等の仕組みで、ユニットに息を吹きかけて光の色分けで濃度を知らせるというもの。こちらも現在は開発は一旦停止状態だ。

ボルボの「アルコール・ロック」。車内でユニットに息を吹きこみアルコールチェック。工場出荷時から装備される点がウリだが、現在は開発停止

 現状、メーカー各社、研究・開発は継続しているもようだ。ただし、ハードルが高いのも事実。例えば、アルコール検知してエンジンがかからないようにするシステム。ほかのものを酒(アルコール)と誤検知する場合もあるだろう。生体認識システムの精度を高め進化していくだろうが、課題は多いといえそうだ。

■まとめ:飲酒死亡事故ゼロ ──本当に難しいことだろうか!?

 心理的側面から“飲酒運転をするワケ”などを探ってきた本企画だが、「飲酒死亡事故ゼロ」の可能性を諦めてはいけないと再認識した。現に、東海電子(株)ではトラックなどの業務用だが、アルコール探知でエンジンがかからない後付け装置「アルコール・インターロック」(12万8000円)が好調、普及中だ。ひとつの可能性を秘めている。

 警察では飲酒運転体験シミュレータなどでユーザーへ交通安全を啓蒙、前述した「ハンドルキーパー運動」への参加の呼びかけも実施している。

 最後になるが、飲酒運転しないのは当然のことながら、飲酒運転をしている人間に巻き込まれないようにも、気をつけていただきたい。飲酒運転ができてしまう人間は、飲酒運転を自分ひとりで解決できる問題だと思い込んでいる。つまり他人へ迷惑をかけることへの想像力がないのだ。そして残念ながら、近年はそうした想像力が欠如した人間が多いように感じるし、そのような人間でも容易にハンドルを握ることができる。

 飲酒運転をしている車の特徴としては、蛇行運転、カーブでのハンドル操作(大回りになる)やブレーキングのもたつき、遅れといったものがある、すこしでも怪しいと感じた場合は、速やかに距離を取り、警察に通報してほしい。

 あなたや、あなたの大切な人たちを守るためにも、これは重ねてお願いしたい。


【番外コラム】 知ってた? 自転車の飲酒運転もかなり重い罰則がある

●100万円以下の罰金も!

 自転車の「酒酔い運転」の場合、5年以下の懲役または100万円以下の罰金が定められている。これはかなりの金額。再認識しておこう。

●2回違反をしたら講習を受ける

 2015年6月からの施行。酒酔い運転や信号無視などの違反で、2回摘発されると「自転車運転者講習」を受講する必要がある。3時間で5800円ほど。

●国沢氏の「俺にも言わせてくれ」

 このページでも登場の国沢光宏氏が自転車取り締まりについてコメントしてくれた。 「ウチの最寄り駅近くには居酒屋が数軒あり(交番の並びにもある)、自転車でくる人も多い。が、こういった人に対して自転車飲酒運転のチェックをしているのを一度も見たことなし。飲酒で事故を起こす自転車が少なくないことを考えれば、しっかり対応すべきだと思う。警察、自転車に関してすべてゆるい」。…自転車も緊張感もって運転しないとアカンです。

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