■ワイヤレス化によるユーザビリティの向上
基本、Android Autoはスマホと車載端末を接続することで機能を発揮する。これまではケーブルが必要だったが、車種によっては無線(ワイヤレス)で接続できる車種も増えてきている。
ワイヤレス化のメリットはカバンなどにスマホを入れておいても自動的に接続できる点だ。これによるユーザビリティは大きく向上する。
一方、デメリットはデータ転送と同時にケーブルによるスマホ充電ができなくなる点、そしてほとんど気にはならないレベルとはいえ、遅延が発生することだ。
ただ、充電に関しては対応する携帯電話を置くだけで充電できる「Qi(チー)規格」用の充電パッドを搭載している車種が増えてきていることからもその部分の問題は徐々に改善されていくだろう。
■次の動きは決まっている。Google内蔵端末の勢力拡大
そして次の動きとして注目、いや確実にトレンドとして来るのが「Google搭載端末」だろう。
簡単に言えば、通信機能を搭載したインフォテインメントシステムなので、そもそもスマホ自体を必要としない。しいて言えば通話だけはBluetoothによる接続になるが、このシステムには「Android Automotive OS」という専用OSを搭載することでGoogleの基本サービスはもちろん、カーナビ&AV機能、エアコン、そして緊急時における通報サービスやセキュリティなどもワンストップで活用できる。
これに早い時期から参入したのがボルボやアウディだ。前述したOSの発表は2017年だが、特にボルボは2021年9月に実施されたXC60のマイナーチェンジモデルにこの車載端末を採用。
凄いと思わせたのはその後の車種展開が早く、現在はBEVのC40やXC90&S90&V90など設定車種も拡大され、年度改良のモデル導入時にはフルラインで対応することも予想できる。
■もう「OK Google」って言わなくてもいい?
Android Autoから専用車載端末へ進化するGoogleのサービスだが、今後考えられるものとしては例の「OK Google」に代表されるウェイクワード(音声起動トリガー)が不要になる機能や、すでにメルセデスベンツなどでも採用されている「Live View(ARナビ)」機能を実装する計画もあるようだ。
要はこれまでの車載器以上によりシームレスにサービスを活用できる点が最大のメリット。もちろんAndroid Autoから今すぐにスイッチするわけではないが、冒頭に述べたようにGoogleの開発スピードは従来の常識を大きく超えるものだ。
■Googleが覇権を取る日は本当に来るのか?
ここまで引っ張ってしまったが、結論から言えば「覇権を握る日は来るが、100%はあり得ない」ということだ。
何だ、その曖昧な回答は、とお怒りになる読者もいることだろう。ただ、整理して言えば、世の中に出回っている中古車も含めた車両には従来までのカーナビなどが装着されている。
これらをスマホ対応のDA(ディスプレイオーディオ)に交換すれば、最新のテレマティクス端末として使えるわけだが、今後増えていくであろう「Google搭載端末」はあくまでも車両との一体開発が基本だ。
現在も販売されている国産&輸入車のテレマティクスサービスも独自のものであり、一部にはAndroid AutoやCarPlayに対応するという形になる。これらを入れ替えるにはモデルチェンジサイクルに合わせることやコスト面の問題も発生する。また、Googleに対しての使用料だって無視できないはずだ。
一方、最大のライバルであるアップルも次世代CarPlayを発表しており、車両本体のディスプレイにも情報が表示できるなどの新しいアプローチを展開する。対応車両は2023年後半に発売されるというから、まだ時間はあるが、こちらも注目のシステムと言えるだろう。
今回のテーマに沿って言えば「カーナビすべての地図がGoogleマップに変わる」ということはない。ただ、何度も言うが、圧倒的な開発スピードと提案力のあるGoogleゆえに、ふと気がつくと「あれ、このナビもGoogleマップ使っている」ってことは充分にあり得るのだ。
国産勢もホンダが2022年後半にGoogleの車載向けコネクテッドサービスと搭載すると過去に発表している。半導体問題などでその時期自体は遅れるだろうが、ホンダはそもそも「ホンダコネクト」という自社のテレマティクスサービスを展開している。これとの進み分けをどうするのかも今後、注目していきたい。
【画像ギャラリー】果たして車載カーナビはすべてGoogleマップに切り替わっていくのだろうか?(6枚)画像ギャラリー
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