なぜそこに!!? 「トナラー」、 止められる側と止める側の気になる心理

なぜそこに!!? 「トナラー」、 止められる側と止める側の気になる心理

 近年、クルマ好きの間で話題になった「トナラー」。

 そもそもトナラーってどんな人のどんな行為なのか。そして、無神経に隣にクルマを止める人はいったいどんな気持ちで止めるのか、隣に止められた側はどうして嫌なのか、対策法はあるのか? ……といったあたりを、自動車評論家の清水草一が考察しました。

文/清水草一
写真/フォッケウルフ(写真はすベてイメージです)

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■パーソナルスペースに侵入されると不快?

 近年、クルマ好きの間で「トナラー」が話題になっている。

 トナラーとは、ガラガラの駐車場で、あえて隣に止める人のことを指す。こんなに空いてるのに、なぜわざわざ隣に? これは何かの嫌がらせか? と感じた経験を持つ人は少なくないだろう。

たとえば隣のクルマがこれくらい近くに止まっていたらどうか。体格のいい人ならクルマから乗り降りするのにひと苦労してしまう
たとえば隣のクルマがこれくらい近くに止まっていたらどうか。体格のいい人ならクルマから乗り降りするのにひと苦労してしまう

 ちなみにトナラーは、電車やバス、カフェなどにも存在する。すべて、「ほかが空いてるのに、なぜか隣に座る人」を指す。こちらはクルマよりも深刻だ。空いた電車で、わざわざ隣に太ったおっさんが座ってきたら、誰だってギョッとするし、「何か特別な意図があるのではないか」と勘繰らざるを得ないだろう。

 トナラーを不快に感じるのは、パーソナルスペースを侵されたように感じるからだ。パーソナルスペースの広さは、その時の混雑状況による。満員電車ではパーソナルスペースは自分の肉体とほぼイコールになるが、空いていればいるほど広くなり、他人がそこにズケズケと侵入すると、不快に感じる。

 これは、人間に限らない。多くの動物も縄張り意識を持っていて、侵入者と激しく戦ったりするが、今回はクルマのトナラーに話を絞ろう。

 空いた駐車場では、どこに止めようか一瞬迷ってしまうが、多くの人は、なるべく出入口に近いところに止めようとする。ただ、出入口への近さへの執着は人それぞれ。常に激しく最短距離を求める人もいるし、そうでもない人もいる。逆に「なるべく遠くに止めて、少しでも徒歩運動したい」という人もいる。

■人によって異なる感覚

 以前、ガラガラの公園駐車場(初訪問)にクルマを止めた際のこと。私は、出入り口からなるべく遠くにと思って、あえて奥の端から2番目に止めたのだが、その数分後、ミニバンのおじさんがわざわざその隣の一番端に止めてビックリした。

 なぜわざわざ? これが噂のトナラーか! と思ったが、実はその場所は、公園への徒歩の出入り口への最短ポジションだった。それがわかって納得したが、これだけガラガラなのにわざわざ隣に止めるなんて、ちょっと無神経だなぁと感じたのもの事実。実際そのおじさんは、無神経そうな顔をしているように思えた(スイマセン……)。

これくらいガラ空き状態だったらどこへ止めるか。多くの人が降りたあと向かう場所に近いほうへ止めるのではないだろうか?
これくらいガラ空き状態だったらどこへ止めるか。多くの人が降りたあと向かう場所に近いほうへ止めるのではないだろうか?

 そのあたりの感覚は人それぞれ大きく違う。最短ポジションを何よりも優先する人にとっては、そこが空いていれば止めるのが当然ということになる。それについては、説明されれば誰でも納得するだろう。

 このように、出入り口に近い便利なポジションならわかるが、まったくそうじゃないのにわざわざ隣に止められると、どうしても不気味に感じてしまう。それこそ、空いた電車で隣に太ったおっさんが座ってきた時のようにギョッとする。

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