乗ると高揚感に満たされる公共交通機関のひとつが空港行き高速バスだ。様々な場所を出発点に空港へとバスが毎日集結するが、最も遠くから来るのはどの路線なのだろうか? 羽田空港を例に見てみる!!
文・写真:中山修一
距離はそれほど関係なし? “近く”から来る空港高速バス
羽田空港のWebサイトで紹介されている空港発着の一般路線/高速バスは合わせて163路線ある。ただし近年のコロナの影響により運休している路線も含まれるため、実際の路線数はこれより少ない。
出発点〜羽田空港第1・第2を経由して第3ターミナルが終点となる高速バスを対象に、端から端まで向かった場合の所要時間を調べてみると、いわゆる近くから来る路線は沢山出てきた。
どれも所要時間で30分台のものが最短クラスだ。ただし同じ30分台でも走行距離が10kmだったり25kmだったりとバラバラ。一般道や混雑しやすい道を走行する割合が高い路線になると、距離に関係なく所要時間が長くなると思われる。
最短TOP3に挙げられる路線のひとつが、京浜急行バスが運行する大井町駅〜羽田空港第3ターミナル行きだ。1日13便の設定があり、始発5:20・最終が21:20発。時間帯によって所要時間が前後し、32〜40分で全区間を結んでいる。走行距離約10km、運賃は590円だ。
次も所要時間的には大体同じであるが、京浜急行バスの横浜駅YCAT〜羽田空港行きの35〜39分。第3ターミナル行きが1日25便の設定で、始発5:40・最終21:57発だ。走行距離約25km、運賃は590円となっている。
全ての便の所要時間が同じという点で、東京空港交通の豊洲駅〜羽田空港線が最も“短い”路線に相当する。1日19便うち1便がコロナ運休中で、始発5:15・最終20:15発。所要時間は35分、走行距離約14km、運賃800円の高速バスだ。
ちなみに羽田空港に入り、第1から第2・第3ターミナル間を移動するのに10〜15分かかるため、バスが最初に到着するターミナルまでなら所要時間は更に短くなる。
飛行機より長く乗る!? “遠く”から来る空港高速バス
続いて、遠い場合はどんな路線が登場するだろうか。こちらは短い空港高速バスとは異なり、いずれも100kmを超えるため距離と時間がある程度比例してくる。
最長TOP3の第3位にランクインしたのが、日本中央バス/東京空港交通共同運行による前橋・高崎〜羽田空港線だ。2022年12月現在はコロナ減便ダイヤで1日5便の運行となっている。
前橋バスセンターを出発して羽田空港第3ターミナルへと向かう走行距離約140kmの路線で、始発2:40・最終6:40発と深夜〜早朝にかけての便のみ運行中だ。所要時間は便によって異なり3時間15分〜3時間55分。運賃は3,900円である。
第2位は日本中央バス/東京空港交通共同運行の伊勢崎・桐生〜羽田空港線の、最大5時間15分という路線であるが、現在コロナの影響で全便運休している。
利用可能な路線に絞ると、茨城交通羽田空港線が第2位となる。日立駅中央口を出発して羽田空港第3ターミナルまで約160kmの行程だ。
こちらもコロナ減便ダイヤで深夜と早朝の2便のみ運行しており、1便は2:45発6:10着の所要時間3時間25分、2便が5:30発9:45着の4時間15分。1便4,400円・2便4,000円と、深夜便のほうがやや運賃が高い。
堂々の第1位に輝いたのは……なんと仙台である。仙台から羽田空港へ向かう高速バスがマジで存在するのだ!!
これはジェイアールバス東北が運行する、仙台駅東口を出発・バスタ新宿を経由して羽田空港第3ターミナルへと至る高速バスで、距離にすると360km以上、空港へ行くために約6時間40分ものロングドライブを体験できる。
仙台7:00発と12:50発の2便が設定されており、昼行便でも原則トイレ付き3列シートの高速車が使われる。運賃は時期によって変わり、3,900、4,900、5,900、6,900円の4段階がある。
仙台空港発着便の設定がない国内線/国際線を利用する際、なるべく安く羽田空港まで向かいたい時に選択肢となる移動手段かもしれない。
国内線に限れば、羽田空港発の最も所要時間がかかる路線は石垣空港行きの約3時間35分(約2,000km)。出発する場所次第では、本来の目的となる飛行機よりも1本の空港高速バスの車内に留まっている時間のほうが長い、なんてことが普通に起こるわけだ。
高速バスの力があるからこそ、空港とは本当に遠くからもお客を呼べるようにできるのだ!!
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