ハイエース,カローラスポーツなど 寒冷地仕様車の意外と知らない驚きの中身

新車のカタログでもよく目にする「寒冷地仕様」は、文字どおり冬場の寒冷地でも不便なく車を使えるよう対策された仕様として、古くから様々な車に設定されている。北海道などでは寒冷地仕様を「標準装備」としているメーカーが多く、雪国のユーザーにとってはお馴染みの装備だ。

ただ、寒冷地仕様について、日ごろ意識するケースはそう多くなく、「多少バッテリー容量がアップしている程度で普通の車とさほど変わらないのでは?」という漠然としたイメージもある。

しかし、実はこの寒冷地仕様車、意外なほど“普通の車”と異なる専用装備を多岐にわたって採用していて、メーカーや車種によってもかなり違いがあるのだ。

文:永田恵一
写真:NISSAN、TOYOTA、Honda、編集部


寒冷地仕様の「中身」 は? カローラスポーツで解説

【図】カローラスポーツ「寒冷地仕様」の装備一覧。同車の場合、HVが1万5000円~2万5000円、1.2Lターボで1万5000円~2万8000円(各税抜)で寒冷地仕様を設定

まずは標準的な車を例にするため、2018年登場のミドルクラスハッチバック、トヨタ カローラスポーツにおける「違い」を紹介したい。以下のとおり「寒冷地仕様」では、思った以上に様々な部分が標準仕様と差別化されている。

・冷却水の濃度アップ/冷却水に水と混ぜるLLC(ロングライフクーラント)の濃度は、多くの標準仕様で30%で、これだとマイナス15℃程度で凍結し、最悪缶ビールを凍らせたようにラジエーターが破裂する恐れがある。これを防ぐために寒冷地仕様ではLLCの濃度を50%に高め、冷却水をマイナス35℃まで凍結しないよう対策している。

・フロントに電気式補助ヒーターを追加/寒冷地では水温が上がるまでの時間も長いこともあり、エンジンが付く車では冷却水を熱源に使う通常のヒーターだけでなく、即熱性があり短時間で暖房が効く「電気式補助ヒーター」を加え、厳しい寒さに対応。

・リアヒーターダクト/リアシート乗員のため足元に温風を送るためのダクトを追加。

・スターター(セルモーター)/カローラスポーツには1.8Lハイブリッド車と1.2Lターボエンジン車があり、後者ではスターター容量を上げ、寒冷地でのエンジン始動性を向上。

・ステアリングヒーター(寒冷地仕様にオプション設定)/ステアリングの円周が素早く温まり、寒冷地では非常に有難い装備。

・ウインドシールドデアイサー(タイマー付)/雪だまりや凍結でワイパーが動かなくなるのを防ぐために、フロントガラスに熱線が付く。寒冷地以外でも駐車中凍ってしまったフロントガラスの氷を早く溶かしたいという時などに大変便利な装備。

・ウォッシャータンクの容量アップ/寒冷地ではウォッシャーを使う機会も多いのに対応し、ウォッシャータンクの容量を2.5Lから4.8Lに拡大。

この他、寒冷地仕様を選ぶと降雪時の後続車からの視認性アップのためLEDリアフォグランプが、メーカーオプションで選択可能となり(1万800円)、ワイパーブレードは雪が凍り付いて機能が低下するのを防ぐために特殊合成ゴムで覆い、寒さによる固着を防ぐウインターブレードの装着が推奨されている。

まだまだある!寒冷地仕様の独自装備

写真はヒーテッド・ドアミラー。雪や水滴によって視界が妨げられるのを防止する寒冷地仕様ならではの装備

その他、トヨタ車から寒冷地仕様に付く専用装備を挙げると以下のとおり。

・ストーンプロテクター(飛び石や雪の塊によるボディのキズを防止するためのフィルムテープ)
・リアへの牽引フックの追加(プロボックスで採用)
・ドアミラーヒーター(ドアミラーの画面を暖め、雪や水滴を落とし後方視界を確保。雨の日にも便利なので、寒冷地仕様でなくとも欲しい装備の1つ)
・バッテリーの容量アップ(セルモーターだけでなく熱線などでも電気の消費が多い寒冷地に対応)
・ワイパーのモーターの強化(雪の重さに対応)
・シートヒーター
・ウォッシャー液レベルウォーニング(液残量が僅かになった際にメーター内に表示)
・ウォッシャー液の濃度アップ(凍結防止)
・リアワイパーの追加(セダンの場合)
・フロントフェンダーサイドパネルプロテクタ(86に採用、フロントフェンダーとボディの隙間をシールし、寒冷地でのドアヒンジの凍結を防止。ドアの開閉のしやすさを確保)
・排気熱回収機(アクアに採用、捨てていた排気熱も使って冷却水を暖め、暖機を促進)
・ヘッドライトウォッシャー(レクサスRCに採用、熱が出ないLEDヘッドライトに対応)

このように、車種によってもその中身は多岐にわたり、寒冷地仕様には非常に様々な装備が追加されていることがわかる。

ハイエースなど特徴的な寒冷地仕様車も!

特に特徴的なのがハイエースの寒冷地仕様。ディーゼル車には「フューエルヒーター」(後述)などプロの道具ならではの装備も採用されている

そして、寒冷地仕様で特長的な装備が付くのがハイラックス(寒冷地仕様が標準装備)、ランドクルーザープラド、ハイエースという3台のヘビービューティーカーだ。寒冷地仕様の代表的な装備に加え、各車には以下の装備も付く。

●ハイラックス

エンジン動力を使ってビスカス=粘性物質を掻き回し発熱。ヒーターの熱源に使う「ビスカスヒーター」、「凍結防止ドアウェザーストリップ」(ドア周りのゴム)、外気導入口に雪が入るのを防止するためステンレス製ネットを装着した「カウルルーパー」を装備。

●ランドクルーザープラド

「オルタネーター」(=発電機)の強化標準に加えて、ディーゼル車では標準サイズのバッテリーを2個搭載!

●ハイエース

錆防止のため、「塗装のコート(塗り)」を追加、またディーゼル車ではヒーターの効きを早める「マニュアルアイドルアップ」を装備。プラドと同様にバッテリーは標準サイズを2個装着し、容量アップ。

さらに、軽油が寒冷地で液体からゼリー状に凍るのを防ぐため、エンジンの熱で燃料ラインを暖める「フューエルヒーター」も装備。

この他、スライドドアとバックドアの凍結防止のため、ゴムパッキンのようなものでドアの隙間を覆う「リアドアアウトサイドモールディング」やスライドドアのステップを樹脂素材にしたうえ滑り止め加工を施した「ステップ&ステップカバー」、「リアヒーター」、標準ボディのガソリン車で2速発進により滑りやすい道でのスタートをしやすくする「スノーモード」も装備されている。

特にハイエースは寒冷地仕様の装備の豊富さに驚くと同時に、ユーザーの声を反映する気遣いに溢れた車であることを再認識させられる。

価格はいくら? メーカーによる違いは? 寒冷地仕様の気になる「疑問」

マツダ車や4WDイメージの強いスバル車などは、標準仕様が「寒冷地対応」!

はじめにホンダ、マツダ、スバル、スズキ車は、一部装備がオプションとなることはあるが、標準仕様で「寒冷地対応」となっており、寒冷地仕様は設定されていない。

また、輸入車も欧米は日本の寒冷地より寒い地域が多数あるためもあり、基本的に寒冷地対応だ。それ以外の日本メーカーでは車種による装備差はあるものの、日産 GT-Rのような車も含め、ほとんどの車種に寒冷地仕様が設定されている。なお、寒冷地仕様は4WDやSUVであればFFでも標準装備となる車種も多々ある。

価格は86で6000円、軽自動車が1万円程度、クラウンで6000円~1万3000円、ランドクルーザープラドが2万~2万6000円、ランドクルーザー200で1万6000円~4万4000円と車種によっても大きく異なるが、内容を考えればリーズナブルといえるだろう。

■寒冷地仕様の内容は昔と今で違うのか?

昔の寒冷地仕様車ではウインターブレードのワイパーが付くこともあったようだが、現在はワイパーが消耗品ということもあり、ユーザーでの対応となっている。他には必要性や法規の変化でバックフォグが付くことがあるくらいで、今と昔で大きな違いはない。

■電気自動車とエンジンが付くクルマで寒冷地仕様に違いはある?

電気自動車の寒冷地仕様は、初代リーフの前期型はヒーターが強力になっていたが、初代リーフの中期型以降はエアコンのシステムが進化したこともあり、ヒーターは標準仕様と同じだ(現行のi-MiEVは寒冷地仕様の設定はないが、システムの異なるヒーターは設定される)。

現行型リーフの寒冷地仕様で目立つ装備としては、リアシートのシートヒーターとヒーター吹き出し口くらいなので、現在は大きな違いはないと考えていいだろう。

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