中国メーカーも参入
このように、デュカトをはじめ欧州車ブランドだけでもかなりのモデルがあるGVW3.0~5.0トン級LCV市場ですが、さらに欧州域外からも参入を挑むメーカーがあります。
新規参入組の筆頭は、やはり中国メーカーです。小型車大手の一つである上海汽車は、09年に買収した英国の商用車メーカー・LDV(現・SAICマクサス)で、小型商用車の現地生産を進めてきましたが、2020年に「マクサス」ブランドを立ち上げ、欧州市場向けの新型LCV「デリバー9」を発表しました。最大の武器は価格(欧州メーカー車より2割ほど安い)で、EVも展開しています。
いっぽう、韓国のヒョンデは、2014年に欧州向け新型LCV「H350」を開発、トルコの自動車メーカーに生産を委託して、欧州市場へ輸出しました。しかし、現地メーカーが圧倒的に強いことから、19年に欧州向けLCVから撤退し、乗用車事業への集中を進めました。
ロシアのウクライナ侵攻によって、EUからロシア企業が事実上追放されましたが、その一つが大手自動車メーカー・GAZグループでした。以前から欧州市場での本格進出を企図してきたGAZは、2020年に開発したばかりの新型LCV「ガゼルNN」を、オーストリアのシュタイア・オートモティブで生産する計画を進めていました。しかしEUの対露制裁に呼応して、シュタイアではその計画を打ち切ることに。もはや現下の情勢では、復活もありえないでしょう。
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