「クラウン」にしては微妙じゃない? 走りはいいけど……新型クラウンのインテリアがちょっと気になる

■グローバル戦略となったこともポイントのひとつ

今回から日本市場専用ではなく、北米などグローバルでも販売されることになった新型クラウンクロスオーバー
今回から日本市場専用ではなく、北米などグローバルでも販売されることになった新型クラウンクロスオーバー

 まず、ひとつ目の大きなポイントは、これまでほぼ国内専用車だったクラウンが、今後はグローバルモデルとして世界に展開するということ。

 ボクは2022年9月にデトロイトショーの取材に出かけ、現場でUS仕様クラウンクロスオーバーを見てきたのだが、北米主力車種のカムリと並んだクラウンクロスオーバーは、実に堂々たるアピアランスで存在感抜群だった。

 北米市場では従来トヨタブランドの最高級モデルはアヴァロンだったわけだが、それに代わる新しい旗艦として、クラウンクロスオーバーは大幅な戦力アップを果たしたといっていい。

 また、北米市場のユーザーは内装のマテリアルや成形方法について日本人ほど細かいことを気にしないといわれている。つまり、インテリアの質感については、コストと商品性のバランスを北米市場ベースで計算した結果で、それが日本人にとってややチープに感じられるとすれば、クラウンの目指す市場が国内から北米へ動いた結果、と言えるのかもしれない。

 以上は市場の特性を反映した結果の話だが、もうひとつ懸念されるのは、ここ数年自動車の製造コストがどんどん上昇してきていることだ。

■原価低減のしわ寄せがインテリアに?

新型クラウンクロスオーバーの後席。主にインテリア関係に原価低減のしわ寄せがきてしまったのではないかと筆者は推測しているが……?
新型クラウンクロスオーバーの後席。主にインテリア関係に原価低減のしわ寄せがきてしまったのではないかと筆者は推測しているが……?

 つい最近、日産リーフの上位モデルが内容変わらずで100万円値上げされるという驚きの事件があったが、原材料価格の高騰は何もBEVだけの問題ではない。

 クラウンクロスオーバーにしても、モデルチェンジ後も値上げをなるべく抑えたければ、どこかでバッサリ原価低減をせざるを得ない。

 新型はご存じのとおり、カムリと同じTNGA-Kプラットフォームがベースだが、パワートレーンにまったく新しいデュアルブーストハイブリッドを新設し、全グレードeアクスルによるAWD化や後輪操舵システム(DRS)を備えるなど、メカニズム面ではアグレッシブな進化を遂げている。

 これは当然ながらかなりのコストアップをともなうわけで、そのままでは大幅な値上げが不可避。そのしわ寄せが、ひょっとするとインテリアにいちばん顕著に出てしまったのかも知れない。

 コスト上昇によるインテリア質感ダウンはトヨタだけの問題ではなく、欧州ブランドにもその影響が出始めている世界的な傾向。かつてゴルフVIIの時代には「内装品質のベンチマーク」と言われたVWは今や見る影もないし、欧州プレミアム御三家ですら下位レンジの車種ではかなりのグレードダウンが感じられる。

 加えて、これからただでさえコストアップ不可避のBEV時代がやって来るわけで、内装品質については当分冬の時代が続くような予感がしますねぇ。

【画像ギャラリー】果たして新型クラウンクロスオーバーは「クラウン」を名乗る資格はあるのだろうか?(10枚)画像ギャラリー

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