先日開催された東京オートサロン2023では、日産GT-Rの2024年モデルが発表され注目を集めた。そこで今回は、同じく東京オートサロンで発表されたR34型スカイラインGT-RそしてR35型GT-Rの魅力を今一度考えてみる。さらに、両モデルの最新中古車相場についてもお届け!
文/萩原文博、写真/NISSAN、ベストカーWeb編集部
■東京オートサロンを盛り上げる日産GT-R
2023年1月13~15日の3日間、千葉県にある幕張メッセで東京オートサロン2023が開催された。国産、輸入車問わずSUVのカスタマイズカーが多く占めるなか、1980年~90年代に登場した国産スポーツカーのチューニングカーが並んでいるのを観て、懐かしさとともにまだ現役なのだと熱いモノがこみ上げた。
日産ブースでは、2022年モデルが販売終了となりこのままフェイドアウトか・・・。と思われていたGT-Rの2024年モデルが登場し、R35型GT-Rの集大成となるモデルと語られた。
さかのぼること24年前の1999年。東京オートサロンの会場で1台の国産スポーツカーがワールドプレミアされた。それがR34型スカイラインGT-Rだったのだ。言わずもがなR34型スカイラインGT-Rは第2世代GT-Rの最終モデル。そして2024年モデルのGT-RはR35型の最終モデルとなる。
そこで、今回はR34型スカイラインGT-RそしてR35型GT-Rの魅力とは一体何なのかを今一度考えてみたいと思う。両モデルの魅力を考える前に、R34型スカイラインGT-Rそして、R35型GT-Rの歴史を振り返ってみたい。
■第2世代スカイラインGT-Rの集大成、R34型の歴史
R34型スカイラインGT-Rは標準モデルに8カ月遅れの1999年1月、「人に翼を」というキャッチフレーズで登場。発表会場はチューニングカーの祭典、東京オートサロンが選ばれた。
R34型スカイラインGT-Rはグランドツーリング性能を向上させるため、R33型と比較すると、全長を75mm、ホイールベースを55mm短縮した。その結果、より走りの性能を高めたホイールベース/トレッド比を実現したのだ。
搭載する2.6L直列6気筒ツインターボエンジンはさらに進化し、カムシャフトの変更や新型ツインボールベアリングセラミックターボの採用により、最大トルクのアップと鋭いアクセルレスポンスを実現。組み合わされるトランスミッションにはドイツのゲドラグ社と共同開発した6速MTを採用。
従来の5速MT車の1~4速を1~5速に分割したクロスギヤレシオを採用するとともにシフト操作力の低減やレバー剛性の向上を図り、強大なパワーを存分に味わえるシフトフィールを実現した。
リミテッドセンターデフ(LSD)はスタンダード車にはレスポンスとコントロール性に優れるヘリカルLSDを採用。旋回時のトラクションとアクセルに対する応答性を向上。Vスペックには従来と同じアクティブLSDを搭載している。
ブレーキは先代モデルに続いてブレンボ製のブレーキを採用。R33型ではブラックだったブレーキキャリパーはR34型ではゴールドに塗装されているのが特徴だ。このブレーキシステムを納める18インチアルミホイールは鍛造のワンピースタイプ。1台あたり4kgの軽量化を行い、バネ下重量を軽減し操縦安定性の向上を図っている。
主翼と可変翼部から構成されるリアスポイラーやVスペックにおいては空気の力を積極的に活用するため、車体下部の空気の流れを整えてダウンフォースを生み出す、フロントディフューザー&リアカーボンディフューザーを採用。これにより高速(80km/h)でのコーナリングやブレーキ時の安定性の向上し、騒音も低減している。
2000年8月のマイナーチェンジでは当時量産車として初めてVスペックIIにNACAダクト付きカーボンボンネットを採用するなど、常に究極のドライビングプレジャーを追求し、走りの楽しさの世界基準を提案。そして2002年1月、R34型スカイラインGT-Rのファイナルモデルと言える限定車の「Mスペックニュル」と「Vスペックニュル」を1000台限定で発売。
「Mスペックニュル」と「Vスペックニュル」は、レースなどのベースエンジンに使われているN1仕様エンジンをベースに、エンジン中心部品であるピストンやコンロッドを重量バランスの均一化を図った高精度バランス品とすることで、エンジン高回転域における爽快な回転フィーリングにより磨きをかけた。
さらに限定車特別装備として、フルスケール300km/hの専用スピードメーター、立体成形の専用グレードネームエンブレムなどを採用。そして特別塗装色ミレニアムジェイドを限定車専用色として設定している。
R34型スカイラインGT-Rに試乗した当時の記憶をたどると、良く曲がるクルマだなという印象を受けた。何故そう感じたのかそれは当時筆者がR32型スカイラインGT-Rを所有していたからだ。R32型GT-Rと比べると、エンジンの加速フィールや旋回性能そして最も異なっていたのが、ボディ剛性だった。
R34型スカイラインGT-Rはとにかく安定性が高く、スキルがそれほどなくても非常にコントロールしやすいクルマに仕上げられていた。その中でセンターパネルに設置されたマルチファンクションメーターは、チューニング好きの筆者にとって革新的なアイテムだった。
R34型スカイラインGT-Rの魅力は、個人的にはなんと言ってもスカイラインGT-Rの最終モデルという価値に尽きるのではないだろうか。
スカイラインGT-Rは、レースに勝つことを宿命づけられたクルマであるうえ、その名を語るには様々な条件がある。市販車をベースとしたスペシャルモデルであること。直6エンジンであること。FR駆動もしくはそれをベースとした4WDであること。
そして国産車最高のパフォーマンスを誇っていること。それが、「羊の皮を被った狼」という言葉に凝縮されているのだと思うのだ。
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