■オフロード仕様でないと林道は走れない場所であること
ふたつ目は、オフロード車(特に日本の林道の場合はジムニー)でしか走れない特別な場所であることでしょうか?
タイムはともかく、オフロード車でもサーキットは走れますが、レーシングカーやスポーカーでは少なくとも未舗装の林道を走るのは不可能です。もちろん、ミニバンでもコンパクトカーでも走行は困難ですから、林道はオフロード車のみに走行が許されたサンクチュアリ(聖域)なのです。
ちょっとオーバーですが(笑)、オフロード系のタイヤが路面をつかんでいる様を想像しながら走っていると、思わず頬が緩んでしまいます。また、副変速機でさらに低いギアに切り替えるタイミングを考えたりする作業自体が私を魅了してやみません。
エンジン自体が非力でもギア比で、それを補い、道なき道を走破する。何と高尚な行為でしょうか。
さらに言えば道幅が極めて狭い日本の林道を走るにはジムニーが最適なんです!!
あ、取り乱しました……(笑)。
■林道は「箱庭」ではなく、「道」だから
では最後の3つ目です。
それは林道が「道」だからです。
どういうことかと申しますと、サーキットや悪路でも、作為的に作った「コース」だと、それは道ではありません。言わば箱庭です。
しかし、林道は集落と集落を結ぶ生活道路であったり、林業や整地などのための作業路であったり、必要な「道」なのです。ですから走る時は「お邪魔します」という謙虚な気持ちが必要なのですが、必要な「道」を走る、というのが私にとっては、重要なのだと思っています。
その道を使って目的地まで移動する。すなわち林道を走ること自体が目的であり、手段でもあるのが私の理想です。遠回りになっても時間がかかっても、悪路をただ楽しむのではなく、移動手段として林道を使うことで、自然を「自然に」感じられます。時には直径2mを超える石が路上に転がっていたり、倒木が道を阻んでいたり、なんてこともあります。
その度、生活道路として使っている方にとっての移動の厳しさに思いを馳せることもできますし、季節によって通行止めになる林道が開通した時の喜びなども実感できるのです。
■林道を久しぶりに走り始めてあらためて気づかされたこと
今回、林道を走る理由についてあらためて考える機会をいただいて、いろいろと考えてみましたが、さまざまな発見がありました。
久しぶりにSUVではない本格的なオフロード車であるジムニーを手に入れたことで約25年ぶりに林道を走ろうとした時、以前と比べて未舗装の林道がかなり減っていることにも気付き、寂しい気持ちになったのと同時に、楽しむために「林道」を走る、という行為が後ろめたくなってくるのかもしれないとも思いました。
内燃機関のクルマは直接、大気を汚します。電気自動車になっても走るエネルギーを得るための環境破壊は皆無にはなりません。林道を走る、ということは環境負荷を与えながら自然を感じて走る、という矛盾している行為なのかもしれません。
でも、もし神様がいるとしたら、人類が環境負荷のないモビリティを生み出すまでの間、どうかガソリンエンジンのクルマで林道を走ることをお許しください!
その分、普段の生活ではなるべく、環境への負担を増やさないように最大限の努力を惜しみません!
最近は、そんなことを考えながら、林道を走っています(笑)。
それにしてもジムニーの燃費、もう少しよくなりませんかね。R06A型エンジンも12年ものですから。でも将来、新しいエンジンは……無理かな。
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