「教習所で習ったはず…でしょ!? 」慢心厳禁の忘れちゃならない運転テクニック

いつも「何となく」になっていない? 追突事故を減らすための安全な車間距離とは

 クルマを運転する恐怖心が薄れ、慣れてきた頃からあまり意識しないポイントのひとつが、前を走るクルマとの車間距離だ。

 追突事故を避けるため安全な車間距離をとることは、道路交通法第26条第1項にも「車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行する時は、その直前の車両等が急に停止した時においてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない」と記されており、極端に車間を詰めた走行は取り締まりの対象となることもありえる。

 では“安全な車間距離”とはどれぐらいなのだろうか? その目安となるのが自動車教習所の座学でも教わる停止距離だ。

 一般的なクルマの場合、乾いた路面を走行中にドライバーが前方の危険を察知してブレーキを踏み、ブレーキが利き始めるまでの「空走距離」と、ブレーキが実際に利き始めてクルマが停止するまでの「制動距離」を合わせた「停止距離」は、時速40kmで約22m、時速60kmではその2倍の約44mとされている。スピードが高くなるほどその距離は伸びていくため、走るクルマの速度に合わせた適正な車間距離が必要となるわけだ。

 とはいえ、走りながら目測で距離を測るのはなかなか難しいもの。そこで覚えておきたいのが、時間で車間距離を把握する方法だ。道路上にある電柱や街灯などを基準にし、前を走るクルマがその基準点を通過した後、2秒(高速道路では3秒)以上かけて自分のクルマが同じ基準点を通過するようにすれば、安全な車間距離を確保できているという。

 車間距離の不足が事故原因のひとつである「追突事故」は、警察庁が公開している令和3年の事故分類別交通事故発生件数を見ても、全体の約1/3を占める30.5%と、その割合がもっとも多い。このことからも走行中に十分な車間距離を意識することが、安全運転にとっていかに重要であるかがわかるだろう。

「教習所で習ったはず…でしょ!? 」慢心厳禁の忘れちゃならない運転テクニック
クルマの停止距離はスピードが上がるのに比例して延びていく。つまりスピードが上がれば上がるほど、車間距離をより長く保つよう心がける運転が必要とされるわけだ

アップダウンの激しい峠道を走る時、積極的に使いたいAT車の「2」&「L」レンジ

 街中を走るそのほとんどがAT車である日本のクルマ事情。MT車免許を取得したものの、自動車教習所を卒業した後はAT車しか乗っていない、という人も珍しくはないだろう。

 シフト操作を基本的に必要としないAT車の場合、街中を普通に走るだけであればシフトレバーを「D」レンジに入れたままでほぼ問題ないが、ドライブなどの遠出でアップダウンの激しい峠道などを走る場合はパワフルでよりエンジンブレーキが強く利く「2(セカンドギヤ:車種によってはS)」や「L(ローギヤ:車種によってはB)」というギヤレンジを使いこなせるようにしておくと、より安全な走りが可能となる。

 上り坂の場合、アクセルペダルを強く踏み込むと自動的にシフトダウンが行われる「キックダウン」である程度は対応が可能だが、勾配のきつい急な上りがダラダラと続くようなシーンでは、ギクシャクした走りになってしまうことも。

 そんな時こそセカンドギヤである「2」レンジの出番だ。意識的にシフトダウンを行うことで常にパワフルな走りが可能となるため、キックダウン使用時よりもよりスムーズに坂道を上ることができる。

 さらにこのギヤダウンが役に立つのが長い下り坂を走るシーン。「D」レンジのままフットブレーキを多用しての減速を繰り返していると、摩擦熱によってブレーキが過熱する「フェード現象」やブレーキフルードに気泡が入る「べーパーロック現象」が発生し、ブレーキが効かなくなる危険性がある。これを防ぐため、長い下り坂ではシフトレバーを「2」レンジに入れてエンジンブレーキを効かせるのが基本。

 さらに傾斜がきつい下りにさしかかった場合は「L」レンジに切り替えてエンジンブレーキの効きを強めることで、より安全に下り坂を走行できるようになる。

 街中ではなかなか出番のない「D」以外のシフトレンジだが、使用するシーンを忘れず把握しておけば、よりスムーズで安全な運転ができるようになるはずだ。

「教習所で習ったはず…でしょ!? 」慢心厳禁の忘れちゃならない運転テクニック
下り坂やカーブが連続する峠道などでは、エンジンブレーキをしっかりと利かせながら走るのが基本。こんなシーンこそ「2」や「L」といったシフトポジションが活躍する

 最近、「教習所で教えることは役に立たない」といったことを口にする人も多いが、そんなことはない。もちろん、自動車技術の進歩によってガラパゴス化しているテクニックもあるかもしれないが、それはごくわずか。安全運転をするうえで必要なテクニックが大半であることは間違いない。自分だけではなく、他人を交通事故から守るうえでも今一度、運転免許更新講習時に配布されるテキストなどを確認してほしい。

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