思わぬ事故を起こさないための予防策としてはもちろん、交通違反の取り締まりにも合わないよう、普段から心がけておきたいのがスマートな安全運転。とはいえ長年クルマに乗っていると、自動車教習所で教わった基本を忘れ、運転がついつい我流になってしまいがちなのも事実だ。
ここでは、ついおろそかにしたり、忘れがちではあるものの、ほんの少し意識するだけで事故や違反のリスクを大きく下げることができる運転テクニックの基本をピックアップ。ビギナードライバーはもちろん、日常的にクルマを運転しているベテランドライバーもいま一度初心に帰り、ぜひ実践してほしい。
文/井澤利昭、写真/写真AC
右折と比べておざなりになりがちな交差点での左折の基本テクニック
交通事故の半数以上が起こると言われている交差点。とりわけ交差点での「右折」は、対向車との接触事故が連想されることもあってか注意喚起や慎重な運転を呼びかける声をよく耳にする。いっぽうで案外おざなりに考えられがちなのが「左折」なのではないだろうか。
左折の基本は自動車教習所でも教えられるように、後方確認をしながら左ウインカーを出してクルマを車線の左側に寄せ、左折する交差点の手前30mで再度左ウインカーを出したら、左後方の確認および横断中の歩行者などに注意しつつ道路の左端を沿うようにゆっくりと曲がる……というもの。ただ街中での様子を見ていると、これをきっちり実践できていないドライバーも少なくない。
ここでポイントとなるのがクルマを道路の左側にきっちり寄せるところ。道路交通法第34条第1項にも「車両は、左折する時は、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、できる限り道路の左側端に沿つて(道路標識等により通行すべき部分が指定されている時は、その指定された部分を通行して)徐行しなければならない」と定められており、クルマを左に寄せる運転は、左折時に必ず必要とされる“決まりごと”となっている。
これは左折時に多い巻き込み事故を防ぐためのもので、ウインカーとともにクルマを左に寄せることで左折する意思を後続車に伝えるとともに、バイクや自転車などがすり抜けるのを物理的にブロックする意味合いがある。
反対に、大きく右側に寄せてから左折するクルマを街中でも時折見かけるが、これは内輪差が大きい大型トラックやバスなどでのみで必要なテクニック。一般的なクルマではまったく意味がなく、内側にバイクなどが進入するスペースを与えてしまうことになるうえ、狭い道では対向車と接触する可能性もある非常に危険な運転と言える。
また、左後方の確認も気をつけたいポイント。運転に慣れてくるとついついミラーだけに頼りがちだが、サイドミラーやルームミラーは思いのほか死角が広い。ミラーで確認後、ハンドルを切り始める前に必ず目視で後方確認をすることを忘れないようしたい。
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