後席シートベルトいまだ装着率は半分以下…未装着だと運転者も危険です

後席シートベルトいまだ装着率は半分以下…未装着だと運転者も危険です

 後席シートベルトの装着率がなかなか上がらない。JAFが警察庁と合同で実施した「シートベルト着用状況全国調査(2022)」によると、後席でのシートベルト着用率は、一般道で前年同値となる42.9%、高速道路では前年比2.3ポイント増となる78.0%と、2002年の合同調査開始以来、過去最高となったものの、一般道ではいまだ半分以下という結果となった。

 まだまだ着用の重要性が浸透していない後席シートベルト。未着用であることがどれだけ危険なのか、改めてお伝えしたい。

文:吉川賢一
アイキャッチ画像:Adobe Stock_ geargodz
写真:Adobe Stock、写真AC、JAF

後席乗員が危険なだけでなく、前席乗員にも危険が及ぶ

 後席乗員がシートベルトを装着せずにいると、事故の際にどのようなことが起こるのか。後席シートベルト着用の重要性を検証するため、JAFは2017年に実験を実施。実験は、テスト車両の前席と後席にダミー人形を2体ずつ計4体乗せ、後席運転席側のみシートベルトをしない状態で、55km/hのフルラップ前面衝突試験によって行われ、衝突時のダミー人形の挙動に加えて、頭部の傷害程度をHIC(頭部障害基準値)で計測した。

 その結果、シートベルト非着用のダミー人形は、衝突によって前方に投げ出されて運転席のヘッドレストに頭を強く打ち付け、HICは(死亡や重傷につながる致命的な頭部損傷を負う危険性が高くなるという)2000を超えた2192を計測。運転席のダミー人形も、(頭部に重大な損傷が発生する可能性がある)1000を超えた1171を計測した。

 シートベルト非装着のダミー人形は、運転席シートに頭部だけでなく身体も強く打ち付けており、シートごと運転席のダミー人形を押しつぶした。後部乗員がまるでミサイルのようになり、前席乗員を押しつぶしてしまったのだ。

 また、車外放出のリスクも増大することが確認された。車外放出は、自車に挟まれたり、後続車に轢かれたりするリスクが高く、かなり深刻な状況に置かれてしまう。ちなみに後席シートでも、シートベルトを着用していたダミーは、上体をしっかりと拘束されたことで、前方へと投げ出されることはなかった。

 このJAFの実験映像は、JAFのサイトにて360度動画でVR体験することができる。ぜひ一度、確認してほしい。

シートベルトを着用していない後席ダミー(赤)は、前方向へと投げ出され、運転席のヘッドレストに頭を打ち付ける。さらにシートごと運転席ダミーを押しつぶし、ハンドルとシートの間に運転席ダミーが挟まる事態に(JAF「一般道路の後席シートベルト着用率は42.9% 今なお低い!後席シートベルト着用の意識」より)
シートベルトを着用していない後席ダミー(赤)は、前方向へと投げ出され、運転席のヘッドレストに頭を打ち付ける。さらにシートごと運転席ダミーを押しつぶし、ハンドルとシートの間に運転席ダミーが挟まる事態に(JAF「一般道路の後席シートベルト着用率は42.9% 今なお低い!後席シートベルト着用の意識」より)

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