後席シートベルトいまだ装着率は半分以下…未装着だと運転者も危険です

浸透しないのは「罰則が緩いから」か

 後席シートベルトが義務化されたのは、2008年のこと。JAFによると、義務化前の2007年の後席シートベルト着用率は一般道で8.8%、高速道路で13.5%だったのが、義務化によって2008年には一般道30.8%、高速道路62.5%と大幅に増加。ただ冒頭で触れたように、15年経ったいまも、一般道では42.9%と半分以下の状況にとどまる。なぜ、後席シートベルトの着用は浸透しないのか。

 真っ先に浮かぶのは、やはり非装着での罰則が緩いということだ。シートベルト非装着による違反点数は、前席では1点だが、後席では高速道路のみ1点であり、一般道では口頭注意のみとなる。いずれも反則金はない。速度超過や一時停止違反と違い、周囲に危害を与えるというよりも、自分自身の身を守るためのものという側面が強いためなのかもしれないが、シートベルト非装着での事故は、(シートベルト装着での事故よりも)乗員のけがの状況がひどくなることから、救急隊や消防、警察、病院など、関与する人員も増えることになる。それを多くの人がしてしまえば、保険料が高くなったり、対策に要するクルマの価格や、道路自体へ対策するために税金が上がるなど、マイナス要素は多々ある。

 そして一般道も高速道路も、前席も後席も、シートベルト着用の重要性は同じだ。「シートベルト着用は重要」ということを知ってもらうためにも、罰則や違反点数は、もう少し厳しくしてもよいのでは、と考える。

一般道も高速道路も、前席も後席もその重要性は同じ。「シートベルト着用は重要」ということを知ってもらうためにも、罰則や違反点数は、もう少し厳しくしてもよいのでは(PHOTO:Adobe Stock_ lzf)
一般道も高速道路も、前席も後席もその重要性は同じ。「シートベルト着用は重要」ということを知ってもらうためにも、罰則や違反点数は、もう少し厳しくしてもよいのでは(PHOTO:Adobe Stock_ lzf)

また「後席は装着しづらい」という声も

 ほかにも、後席シートベルト着用が浸透しないのには、後席ならではの理由があるようだ。JAFが2016 年に実施した、後席でシートベルトを着用しない理由についてのオンラインアンケートによると、後席でシートベルトを着用しない理由として、「使いにくい」という回答が29.8%ともっとも多かったという。

 確かに後席のシートベルトは、乗り込む際やシートバックを倒したときに干渉しないよう、シートに埋め込む形状となっている。また、隣席のバックルと間違えるなどで、装着に手間がかかることもあり、面倒に感じるのだろう。高齢の人は特に、手探りでバックルを探して差し込むなどの操作は「難しい」と感じるという。これらによって、後席シートベルトの装着率が下がっているのだとすれば、メーカー側に何らかの対策が求められるところだ。

 アンケート調査ではまた、「高速道路ではつけている」という回答も27.6%あり、違反点数の有り無しが装着非装着に関係していることもわかった。また、8.9%の人が「後席は危険であると感じない」と回答しており、まだまだ重要性の認知が広がっていないこともわかった。

後席のシートベルトは、乗り込む際やシートバックを倒したときに干渉しないよう、シートに埋め込む形状となっており、使いにくい。これも装着率が上がらない一因となっているようだ(PHOTO:Adobe Stock_ Aleksandr Kondratov)
後席のシートベルトは、乗り込む際やシートバックを倒したときに干渉しないよう、シートに埋め込む形状となっており、使いにくい。これも装着率が上がらない一因となっているようだ(PHOTO:Adobe Stock_ Aleksandr Kondratov)

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 シートベルトをしない人が車内にひとりでもいることで、万が一の事故の際、他の乗員にとっては凶器にもなりうるということは、クルマに乗るすべての人たちに知っておいてほしい。後席でもしっかりシートベルトを着用しよう。

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