普通乗用車に比べ遥かにサイズが大きいバス車両。その分エンジンの排気量も大きくなるはずだが、最近の車種では何ccくらいが標準なのだろうか。
文・写真:中山修一
■普通車寄り? なワゴン車とマイクロバス
車体が小さい順に車種とその排気量を見ていくとして、まずはバス車両でもミニマムな部類に入るワゴン車タイプだ。
代表的なものにトヨタ・ハイエースの14人乗り「コミューター」仕様がある。ガソリンエンジンとディーゼルの2種類が用意されており、前者が2TR-FE型エンジン搭載車で2,693cc、後者の1GD-FTV型エンジンのものが2,754ccとなっている。
通常のハイエースには2,000ccクラスのタイプも選べるようになっているが、コミューターには設定がない。
一方で、ワゴン車よりも定員の多いマイクロバスはどうだろう。25〜29人乗りの三菱ふそうローザを例に取ると、ショートボディとロングボディがある中、エンジンはどちらも同じ4P10(T6)型で2,998ccだ。
もちろん性能面での方向性が全く違うので厳密な比較はできないのだが、排気量の数値だけで言うなら、5人乗りの大型セダンでも見られる程度の排気量で大丈夫なわけだ。
■昔は10リッター超えもあった小型・中型・大型路線車
続いて路線車を見ていこう。マイクロバスから一気に車体が大型化するため、大排気量なイメージを抱く。過去に遡ると、実際10,000ccクラスのエンジンを積んだ車種も見られる。今も変わらないのだろうか。
最近の小型バスのフラッグシップになっているのが日野ポンチョである。25人乗りショートボディ〜36人乗りロングボディいずれのグレードにもJ05D型ディーゼルエンジンが積まれており、排気量は4,728ccだ。
60名程度まで乗れる中型路線車のいすゞエルガミオの場合、排気量5,193ccの4HK1-TCS型エンジンを搭載している。
同じくいすゞ製で定員70名クラスの大型路線車・エルガでは、エンジンの型式がエルガミオと少し異なる4HK1-TCH型であるものの、排気量は同じ5,193ccである。
それでは動力源をエンジンと電動モーターで折半するハイブリッド車なら、エンジンの排気量も半分で済むだろうか。
そう思いきやエルガのハイブリッドモデルに採用されているA05C-K1型エンジンの排気量は5,123ccで、普通のディーゼル車とそれほど差はない。
車長のある連節バスとなればエンジンも大型化するだろうか。119人乗りのいすゞエルガデュオ・ハイブリッドの諸元表によれば、A09C型エンジン搭載車で8,866ccと、より大排気量のものが使われている。
三菱ふそうの大型路線車であるエアロスターシリーズには、6M60(T6)型エンジンが積まれている。こちらの排気量は7,545ccあり、いすゞ車に比べると2リッター分くらい大きい。