■高速道路を走る余裕が大切? 大型高速・貸切車
路線車より大柄なバス車両と言えば大型高速・貸切車だ。三菱ふそうエアロクィーンとエアロエースから見ていくと、いずれも6S10(T2)型エンジンを搭載しており、7,697ccの排気量を持つ。
続いて日野自動車の大型高速貸切車であるセレガに注目してみよう。セレガは車体長とグレードに応じてエンジンの種類が変わる。
車体長9mのショートボディのセレガにはA05C〈A5-III〉型が用いられる。5,123ccあり、いすゞの中・大型路線車と同じくらいの排気量だ。
全長12mのロングボディのセレガになると、A09C-UV〈AT-VIII〉型エンジン搭載車が8,866ccとなる。さらにハイグレードタイプが用意されており、そちらのE13C-AE〈ET-ⅩVI〉型は12,913ccという大排気量エンジンだ。
高速・貸切車は高速道路を走行する機会が多く、時に力強い加速が必要となるためか、より大きなエンジンを用いて余裕を持たせていると言えそうだ。
■海を越えれば尚更デカい?! 北米とヨーロッパのバス車両
簡単ではあるが、ついでに海外のバス車両が積んでいるエンジンの排気量をチェックしてみた。
「グレイハウンド」をはじめアメリカの超・長距離都市間バス向けの大型車である、プレヴォスト社製X3-45にて指定されている、北米ボルボ製D13型エンジンの排気量は12,800ccだ。
ドイツのMAN社が発売している大型路線車の一種、LION’S CITY 12では、D1556型ディーゼルエンジンのモデルで9,037ccある。
LION’S CITYシリーズには連節仕様もラインナップに並んでおり、ディーゼルなら上記と同じエンジン・同じ排気量で、天然ガスで動くE1856型エンジンの場合は9,514ccとなっている。
最近のロンドンバスでおなじみのライトバス・ニュールートマスターには、カミンズ製ISBe4.5型エンジンが積まれている。
排気量にすると4,460ccなので、全長11mを超える車体サイズの割に大人しい印象を持つが、動力源が100%電動モーターかつエンジンは発電専任の構造上、4.5リッタークラスで十分賄えるなのだろう。
日本製バス車両の排気量で見ると、全体的にエンジンのダウンサイジング化が進められているようだ。
効率よくパワーを取り出そうとする際、エコの観点を含め、単純に排気量を増やす以外の方法も選択できるようになってきたのかもしれない。
【画像ギャラリー】大小入り混じるバス車両のエンジン排気量(6枚)画像ギャラリー