ミシュランは、公道での走行を開始して実用化の第一歩を踏み出した
乗用車用のエアレスタイヤとしては、ミシュランの「Uptis(アプティス)」、トーヨータイヤの「noair(ノアイア)」、ブリヂストン「エアフリーコンセプト」、住友ゴム「GYROBLADE(ジャイロブレイド)」などが、すでに実証段階に入っています。
先行しているのが、ミシュランのアプティスです。ミシュランは数年前から、GMと共同でボルトEVなどを使って走行試験を行っていましたが、冒頭で触れたように、ついに今年1月、DHL Expressと提携して、シンガポールでアプティスを装着したDHLのライトバン配送車の運行を開始しました。いよいよ、エアレスタイヤが実用化の第一歩を踏み出したのです。
日本メーカーであるトーヨータイヤのノアイアは、ゴルフ用カートをメインに2021年から一部のゴルフ場で運用を始めています。
ただ、当面は限定的な活用にとどまる見込み
多くのメリットがあるエアレスタイヤですが、日本の保安基準では、タイヤは空気入りタイヤが前提であるため、現状のままでは乗用車に採用することはできません。ただ海外で乗用車用エアレスタイヤが実用化されれば、日本がそのクルマの輸入を拒否することはできないため、保安基準を変更せざるを得ないでしょう。そのためこの法規上の問題は大きな障壁になることはなく、最大の課題はコストだと考えられます。
市場のほぼ100%のシェアを獲得している空気入りタイヤに対して、材料の異なる新規開発のエアレスタイヤのコストが同等になるのは至難の業。また、これまで長い歴史の中で技術が熟成されてきている空気入りタイヤよりもタイヤ本来の性能や快適性、耐久性において勝ることを実現・実証するのには時間もかかります。
ただ、採用しやすいゴルフカートでの展開から法整備が進めば、用途の限定された超小型モビリティバッテリーEV、そして低速の短距離走行が中心の小型バッテリーEVでの採用へ進むと予想され、空気圧などのタイヤメンテナンスが不要となるメリットを生かして、レンタカーやカーシェアリング、自動運転車などにおいて活用が見込まれますが、一般の乗用車への適用については、まだまだ時間がかかりそうです。
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実用化や普及に時間がかかりそうなエアレスタイヤですが、現在の自動車が最優先で取り組むべき4つの技術「CASE」のコネクティッド(C)/自動運転(A)/シェアリング(S)/エレクトリック(E)のうち、自動運転とシェアリングに直接関係する技術であり、タイヤメーカーも本気で取り組んでいます。エアレスタイヤは、決して夢のタイヤで終わることはない、将来有望な技術なのです。
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コメント
コメントの使い方本来空気が入っている部分が、ゴムか樹脂か何かのバネに置き換わってるんだろうけど、そこの寿命が案外短そう。
車ではパンクしたことないから、どうもあまり重要性を感じられない。どうせ削れて交換しなきゃならないんだろうし。普通のタイヤより高くなったら意味ないような。
日本で安全基準を作るのは、海外の品物w
国産品では絶対に受け付けない。
海外からの外圧を受けて、初めて重すぎる腰を挙げ、後追いで海外の基準に準ずる。
いつでも後追い。日本の産業には足枷がついている。
日本って国内の新しいものに関しては駄目と言うくせに、海外で認められたものはすぐ認証する。ノーパンクタイヤは国内メーカーでも実用レベルな物もあるし、アメリカの軍用車では一部採用されています。