エンジンのホンダが電動化に全フリ!? EVと水素で勝負でどうなる!?

エンジンのホンダが電動化に全フリ!? EVと水素で勝負でどうなる!?

 ホンダは「エンジンのホンダ」として一時代を築いてきたが、2040年には新車販売の脱エンジンを目標にしてる。そして2023年2月、水素事業に関する発表も行った。EVとFCEVの二刀流で進めるホンダのこの先についてを考察する。

※本稿は2023年2月のものです
文/佃義夫、写真/HONDA、ベストカー編集部、AdobeStock
初出:『ベストカー』2023年3月26日号

■エンジンのホンダが「脱エンジン」で第二の創業

2021年4月に社長就任会見を行った三部敏宏代表取締役社長。この会見で2040年までの「脱エンジン」を宣言した
2021年4月に社長就任会見を行った三部敏宏代表取締役社長。この会見で2040年までの「脱エンジン」を宣言した

 ホンダの三部敏宏社長が就任直後の2021年4月に、2040年に世界で売るホンダの新車をすべてBEV(電気自動車)・FCEV(燃料電池車)にする「脱エンジン目標」宣言をしたことは大きな反響を呼んだ。

 ホンダと言えば、フォーミュラワン(F1)での躍進から築いてきた「エンジンのホンダ」であり、歴代のトップの多くがエンジン屋で三部社長自身もエンジン開発出身だったが、その看板をかなぐり捨てるものだった。

 この「脱エンジン目標」宣言には、三部社長としての「ここで変わらなければ、ホンダはなくなる」との強烈な危機意識があったのだ。三部ホンダ新体制は「第二の創業」として、矢継ぎ早の改革を打ち出してきた。

 異業種提携として世間をアッと言わせたのが、2022年3月のホンダ・ソニー提携発表だった。そして両社が50%ずつ出資し、同年9月には新会社のソニー・ホンダモビリティが設立された。

■ソニーとの提携をどう活かしていくのか

ソニー・ホンダモビリティが2023年1月に公開した新型EVプロトタイプのアフィーラ。その前に立つのは水野泰秀会長
ソニー・ホンダモビリティが2023年1月に公開した新型EVプロトタイプのアフィーラ。その前に立つのは水野泰秀会長

 2023年1月初旬に米ラスベガスで開催された世界最大のテクノロジー展「CES2023」の最大の目玉は、ソニー・ホンダモビリティのBEV試作車と新ブランド名「AFEELA(アフィーラ)」だった。

 アフィーラは2025年にまず北米で受注を開始し、2026年春に納車する計画だ。詳細は明かしていないが、自動運転はレベル3を目指し、さらに「エンタメカー」として最先端の技術を詰め込んだ高付加価値を持たせたBEVとなる。ホンダがソニー提携をどう活かしていくか注目だ。

 三部ホンダ体制の移行から一気に、ソニーとの提携、アフィーラブランドのBEV投入計画をまとめ上げた。

 その一方でホンダとしての「脱エンジン」に向けたBEV・FCEV戦略は、現在のところ独自開発のBEVであるホンダeを2020年に日欧で発売したのみ。しかもこのホンダeは、欧州で強化された環境規制への対応という側面が強い。

 では今後はどうなるか? EVで出遅れてきたホンダのEV戦略・計画だが、「高価格帯」と「低価格帯」とでメリハリをつけた商品戦略を進めることになる。

 高価格帯では、北米専用の高級車ブランド「アキュラ」を2028年に完全EVブランド化したうえでグローバル展開する。

 現行車より生産コストの高いBEVに切り替えることで、販売価格は現行モデルより100万円以上上がりそうだが、高付加価値を付ける。2030年までと位置付けるEV拡大期では、高付加価値・高価格帯にシフトするというのがホンダの基本戦略だ。

 一方で、大衆車クラスでの低価格帯EVも計画する。その目玉となるのが軽自動車「N-VAN」ベースのBEVだ。ホンダは日本国内では「軽メーカーか?」と揶揄されるほどN-BOXがベストセラーカーであり、軽EV投入が待たれる。

次ページは : ■電気とともに新たな水素戦略も

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