2018年には年間5万982台を日本で売り上げたBMW。これまでも“輸入車の定番”として高い人気を誇っていたが、2016年に初めて年間販売台数が5万台を突破するなど、その人気は近年さらに拡大。輸入車ブランドではメルセデスベンツ、フォルクスワーゲン(VW)に次ぐシェアを誇る。
その販売台数と「駆け抜ける歓び」というキャッチコピーが示すように、一般ユーザーとコアな自動車ファンの双方に高く評価されているBMWは、いったい何がそんなに良いのか? 日本で高い人気を誇る理由と合わせて解説したい。
文:渡辺敏史、松田秀士
写真:BMW
ベストカー 2019年3月26日号
BMW最大の魅力とは?
BMWの最大の魅力を問われれば、ともあれ社名の由来でもある内燃機関を挙げないわけにはいかない。
ガソリンであれディーゼルであれ、環境適合などの技術面で時代を先導するだけでなく感覚性能的にも珠玉といえるユニットを、これほど多数かつ安定的に供給できるメーカーはBMWをおいてほかにないだろう。
もちろん、その象徴的存在は直列6気筒になる。完全バランス=無振動という実利だけでなく、(エンジンを)回しての気持ちよさにおいても他の追随を許さないそのユニットをトヨタがスープラに搭載したのはご存じのとおり。
ダウンサイジング化によってBMWのラインナップに搭載されるエンジンは4気筒が主力となり、6気筒がプレミアム化しているのは残念なかぎりだが、今もその選択肢が1シリーズからの後輪駆動モデルに整えられているということは評価できる。
一方、ほんの数年前まで商業的には投資に二の足を踏んでしまいそうな位置づけだった電動化に際しても、いち早くサブブランドまで立ち上げて躊躇なくゴリゴリの先進技術を突っ込んでくるなど、未来への強力な前進力の源となっているのは、半世紀以上前からの圧倒的筆頭株主であるクヴァント家の、BMWに接する付かず離れずの間合いの巧さにあるのだと思う。
【渡辺敏史】
ライバルにはないBMWならではの魅力は?
BMWのライバルといえば国内にはメルセデスやアウディ、国外にはレクサスやインフィニティ、ジャガーやキャデラック……などが挙げられる。以前よりもはるかに多くの車がBMWをベンチマークとして車作りに勤しむなか、BMWの圧倒的な優位は走りにのみ現われるのかといえばそんなことはない。
例えば、クローズドコースでガシガシに走り込むような事態になれば、3シリーズよりもキャデラックATS、7シリーズよりもレクサスLSのほうが適性は高いだろう。
が、BMWは走りの頂点を極めるMブランドを擁しつつ、そのノウハウをMパフォーマンスやMスポーツとして、あまねくモデルに展開している。
例えば、ここ2〜3年のBMWでは最高傑作ではないかと個人的には思っているM760LiなどはMモデルほどの過激さはないにせよ、速さや楽しさ、心地よさや気持ちよさといったBMWのフラッグシップに求められる多様な味わいをみごとに高次元でまとめ上げている。この境地まで達すれば、ガチで挑めるのはAMGくらいなものだろう。
さまざまな特徴を持った膨大な車種を擁しつつ、各々の走りのデザインを最適化する引き出しを備え、FFでさえモノにしてしまう、そこが現在の今のBMWの強さだと思う。
【渡辺敏史】
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