クルマたちは「乗ってほしい」という志を持って世に送り出される。が、悲しいかな、開発の狙いや販売戦略がうまくいかない場合もある。たいていは販売不振に陥り、短命に終わる結果に……。
その不遇さゆえに、「ざんねん、惜しいなぁ」のひとつ上いく「かわいそう」という思いを抱かずにはいられないクルマたちを、国産旧車をメインに取りあげていく。今回は「狙いがかわいそう編」。
最初に言っておこう。決してキミたち(クルマ)が悪いわけじゃない。時流や時代背景、メーカーの戦略が、やや、ズレちゃっただけなんだよ……と。
※本稿は2019年2月のものです。各かわいそう度は「10」が最高点
文:伊達軍曹(文末の★印は編集部担当)
初出:『ベストカー』 2019年3月26日号
■13年の放置プレイの末に トヨタ アイシス
2004年から2017年までの13年間、さすがに少々のマイナーチェンジは受けたものの「一度もフルモデルチェンジされない」という放置プレイを受けてしまった、かわいそうなミニバン。
左側センターピラーレス・スライドドアで乗り降りが快適などいい持ち味もあったが、古びたシャシーを身にまとったまま、2017年12月に絶版。なんともかわいそう……。
[(´;ω;`)かわいそう度]★★★★★★★★★☆
■タイヤ、重くないですか? 日産 パルサールキノS-RV
今でこそ背面タイヤのモデルは希少価値が高いが、RVブームが巻き起こった1990年代は“背面タイヤCAR”が人気者。まさに勝ち組だった。
そんな背景のなか、コンパクトカーに無理やり背面タイヤを背負わされた感が漂うのが、このパルサールキノS-RV。タイヤ、重くないですか(湘南美容外科か)。
オバフェンも付けて3ナンバーボディとなり、風格あるRV仕立てにしたいのはわかるが、背面タイヤがないほうがスッキリしていたかも。しかし、ベース車のエンジンが 1.5Lに対して、こちらは2L。ここは威張れる部分です(編)。
[(´;ω;`)かわいそう度]★★★★★★☆☆☆☆
■ ユーザーにその狙いを伝え切れなかった…… 3代目ホンダ ステップワゴン
「ミニバンユーザーにとって本当の使い勝手のよさとは何か?」を真剣に考えた結果、車内空間は2代目とほぼ同様の広さをキープしながら、ボディサイズはやや小さめに抑えたのがこの3代目。
全幅は1695mmと同じながら、全長は2代目4670mmに対して3代目は4640mm。全高は2代目1845mmに対して3代目は1770mmと、見た目どおり数字的にも小さい。
その小さめにしたことがユーザーにウケると思ったらまったくウケず、逆に「狭そう」「なんだか弱そう」ということで圧倒的不人気車に。
しかも開発陣も「いやあ、失敗だったねえ」と思ったのか、2009年に登場した4代目は全長4690mm、全高1815mm(FF)と、5ナンバーサイズながら再び巨大化。全長に至っては2代目よりも大きくなってしまった。
開発の狙いに翻弄された1台。
[(´;ω;`)かわいそう度]★★★★★★★★☆☆
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