かっこいいけどちょっと気になる?? トヨタbZシリーズのBYD協業でトヨタは中国市場で躍進するのか

■中国市場でのトヨタのBEVラインアップ

中国専売車のbZ3。bZ4Xに続くbZシリーズの第2弾だ
中国専売車のbZ3。bZ4Xに続くbZシリーズの第2弾だ

 トヨタが2021年より展開するBEVラインナップ「bZ」のうち現在、世界中の市場で販売されているのは第1弾車種「bZ4X」、そしてそれに次ぐ中国専売車種の「bZ3」(2022年12月発売)だ。

 中国市場におけるbZ4Xは、トヨタが中国で設立している合弁企業「一汽トヨタ(第一汽車との合弁)」、そして「広汽トヨタ(広州汽車との合弁)」の両方が製造・販売を行なっているが、このケースは非常に稀、というかまったく初めてのケースとなる。

 通常、自動車メーカーが中国にて2つ以上の合弁会社を有する場合は、一つのモデルをデザインや名前の異なる姉妹車としてそれぞれの合弁会社から展開するのが一般的だ。

 例えば、トヨタは「カローラ/レビン」、「アリオン/レビンGT」、「イゾア/C-HR」、「カローラクロス/フロントランダー」、「RAV4/ワイルドランダー」、「ハリアー/ヴェンザ」、「クラウンクルーガー/ハイランダー」などをそれぞれ一汽トヨタ/広汽トヨタで展開中だ。

 これが慣例となっている中で、一汽トヨタと広汽トヨタ両方から、デザインと名前を一切変えずにbZ4Xを中国で展開するのには驚かされた。だがこれも、bZ4Xという新たな未来の幕開けを象徴する車種を「合弁の垣根を越えて展開したい」という思惑の現れなのかもしれない。

 一方で、中国専売車の「bZ3」はトヨタがBYDと共同開発し、一汽トヨタが独占して製造・販売を行う車種となる。広汽トヨタ版の姉妹車も存在しないので、モデル数で見れば一汽トヨタの方がBEVのラインナップが1台多いことになる。

 bZ3は2021年12月にお台場のメガウェブ(2021年12月末で閉館)で行われた「BEV戦略説明会」にてお披露目された「bZ SDN」の市販車だ。

 コンセプトモデルがお披露目された段階から「中国テイストを感じる」と評されていたが、その通りで、まさに中国企業BYDと協力して開発された中国専売車であることが明らかになった。

■ BYD/広州汽車との協業だが詳細は分からず

 話を上海モーターショー2023に戻そう。今回発表された2つのコンセプトモデルは、2024年には中国市場で発売を予定しており、すでにそれぞれ一汽トヨタと広汽トヨタが製造・販売を予定している。

 トヨタは、プレスリリースで2つのコンセプトカーがBEVであるという事実を除いて詳細を明らかにしていない。現時点でわかっていることをお伝えしておきたい。

●bZ Sport Crossover Concept

トヨタ bZ Sport Crossover Concept。C-HRに通ずるスペシャリティ要素の強いデザインが特徴的だ
トヨタ bZ Sport Crossover Concept。C-HRに通ずるスペシャリティ要素の強いデザインが特徴的だ

 bZ3同様、BYDとの協業で誕生したモデル。トヨタ自動車、一汽トヨタ、トヨタ モーター エンジニアリング & マニュファクチャリング チャイナ (TEMC)、および BYD トヨタ EV テクノロジー (BTET) によって開発がすすめられたとされるが、主導したのは2020年4月に発足したトヨタとBYDの合弁会社BTET(BYD TOYOTA EV TECHNOLOGY 本社:広東省深セン市 坪山区)である。

 また、実際の市販車の製造および販売は「一汽トヨタ」が担当する。詳細は明らかにされていないものの、bZ スポーツ クロスオーバー コンセプトのバッテリーはbZ3と同じく、BYD のブレードバッテリー技術が採用されている可能性が高い。

 デザインは非常に若々しく、ダックテールスポイラーのように尖ったリアビューが目を引く。トヨタによれば、このコンセプトモデルは若年層の購買層を措定してスタイリッシュ、そしてアクティブに仕上げたとのこと。

 クルマに乗り、クルマで移動することで気分展開を行いたいという思いを込めた「Reboot(再起動の意)」がテーマとなっているが、インフォテインメント機能やコネクティッド技術など、中国の若年購買層が特に求める分野が盛り込まれることになるだろう。

●bZ FlexSpace Concept

トヨタbZ FlexSpace Concept。こちらはファミリー向けの1台となりそう
トヨタbZ FlexSpace Concept。こちらはファミリー向けの1台となりそう

 対して、同時に発表されたもう一台の「bZ FlexSpace Concept」は広州汽車(GAC)、そして広汽トヨタと共同で開発された「実用性重視」のファミリー向けBEVとなる。TEMC が開発したモデルゆえにGAC Aionの EV 技術を採用している可能性は大ではあるが、こちらも詳細は公開されていない。

 なお、GAC AionとはGAC Aion New Energy Automobile Co., Ltd.のことで、2017 年 7月 28 日に設立された革新的なテクノロジー企業である。Aionとは広州汽車集団(GAC)の電気自動車シリーズで、AION SやAION Yなどのモデルが現在中国で販売されている。

「bZ FlexSpace Concept」は家族が安心、そして快適に自由な移動を楽しめる大空間を特徴としており、実際の市販車は「安全性」に「航続距離」、そして何よりも「扱いやすさ」を念頭に置いて仕上げられているはずだ。

 コンセプトモデルなので同じサイズ感のまま市販化されるとは断言できないが、雰囲気としてはRAV4やbZ4Xを少し拡大させたようなものとなる。デザインも「bZ Sport Crossover Concept」とはうって変わって落ち着いた印象を見るものに与えている。

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