販売店改革を皮切りに兄弟車を整理しまくっていたトヨタ。だがノア&ヴォクシー、そして無くなるとウワサされていたヴェルファイアも存続することに。兄弟車整理はなんだったのか!? そして兄弟車が存在する意味は今後もあるのか!?
文:佐々木亘/写真:ベストカーWeb編集部
■兄弟車はチャネル体制そのもの!! 日産にホンダ、マツダも三菱もあったゾ
現在もトヨタ4チャネルの名は残っている。販売チャネルは日産やホンダなどトヨタ以外のメーカーでも過去には存在し、各チャネルで専売車種を取り扱う時代があった。
こうした時代に生まれたのが兄弟車である。マークⅡとチェイサーとクレスタ、セドリックとグロリア。さらにはアコードとトルネオなど、あげれば枚挙にいとまがない。
兄弟車は、1990年代当時、チャネル販売体制を取る自動車ディーラーに必要不可欠な存在だった。
しかし、チャネル制の廃止が各メーカーで相次ぎ、兄弟車は次々と消えていく。トヨタだけは維持し続けたが、それも2020年5月まで。以降、兄弟車を中心に、大掛かりな車種整理が始まった。
プロボックス(サクシード)、ノア・ヴォクシー(エスクァイア)、ルーミー(タンク)といった具合に、兄弟車の一方だけが販売を継続している。
このように販売体制が変わり、兄弟車は減る一方なのだが、なぜかノア・ヴォクシー、そしてアルファードとヴェルファイアは生き残り続けた。
とくに廃止が囁かれ続けたヴェルファイアだが、今年発表される新型でもアルヴェル兄弟そろい踏みでフルモデルチェンジをするようだ。
アルファードの兄弟車であるヴェルファイアが残った事実から、兄弟車の存続意義を深堀りしていこう。
■兄弟車だけどユーザーは全く別!? ちゃんとした存在意義が!!
現行型は圧倒的にアルファードが人気だが、過去に遡るとヴェルファイアが飛ぶ鳥を落とす勢いで売れていた時期がある。
そもそもヴェルファイアは、アルファードが2代目へモデルチェンジした2008年に、ネッツ店(ビスタ店)で販売されていたアルファードVの後継車として登場した。
アルファードよりも力強さを強調したエクステリアのウケが良く、販売開始以降好調に売れ続けていく。2010年には年間6万台超とアルファードの約2倍の販売台数を記録するほどだった。
2017年末に行われた意匠変更以降、アルファードに人気を奪われる形となったが、現在のド派手なミニバンの元祖はヴェルファイアだ。
アルファードとヴェルファイアの関係はノア・ヴォクシーにも同様に当てはまる。それぞれの個性が立ちすぎた兄弟車は、支持するユーザー層がまるで違うのだ。現存する兄弟車は似た者同士ではなく、正反対の性格を持つ。
それぞれを選ぶユーザーが別々に、かつ多数いるからこそ、車種整理が進む中でもこの兄弟たちを残さざるを得なかった。
元を辿れば同じクルマなのかもしれないが、ユーザーの受け止め方を見ていると、アルファードとヴェルファイアは、もはや「別のクルマ」なのである。
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