なぜ申請者が極端に少ないのか?
サポカー限定免許が新設された第一の理由としては、高齢ドライバーによる交通事故が多発していること。理想は免許の自主返納だが、公共交通機関が発達していない地域ではクルマがなければ生活に支障が出るケースも多い。そこで考案されたのが「サポカー限定免許」だ。
ある意味、高齢ドライバーの救済策ともいえる制度なのだが、申請者が極端に少ないのが現状だ。
その理由としては、同制度の認知度がいまだ低いことが挙げられる。クルマの選択肢が狭まるということに抵抗感を覚える人が多いというのも事実だろう。
また、サポカー限定免許を持つドライバーが、サポカー以外のクルマを運転した場合には、違反点数2点が加算されるという点も申請者が少ない一因だと思われる。
どんな装置が必要なのか?
ここで、サポートカーについて簡潔に解説していこう。サポカーは以下の2つに大別される。
■「セーフティー・サポートカー」
衝突被害軽減ブレーキを搭載した車両。「道路輸送車両の保安基準」に適合していることが必要で、性能認定よりも高い基準が適用される。
■「セーフティー・サポートカーS」
衝突被害軽減ブレーキに加えて、ペダル踏み間違い急発進抑制装置を搭載した車両。2つの装置が国土交通省の「性能認定」を受けたクルマに限られる。
また、「セーフティー・サポートカーS」は、その機能の違いにおいて以下の3つに区分される。
■「ワイド」
○衝突被害軽減ブレーキ(対歩行者)
○ペダル踏み間違い急発進抑制装置
(マニュアル車は除く)
○車線逸脱警報(車線維持支援装置でも可)
○先進ライト
(自動切替型前照灯など)
■「ベーシック+」
○衝突被害軽減ブレーキ(対車両)
○ペダル踏み間違い急発進抑制装置
(マニュアル車は除く)
■「ベーシック」
○低速衝突被害軽減ブレーキ(対車両)
(作動速度域が時速30km 以下のもの)
○ペダル踏み間違い急発進抑制装置
(マニュアル車は除く)
これらすべての車両がサポカー限定免許の対象となる。いずれの条件においても、後付けの装置は対象とならないので注意が必要だ。
サポートカーにはどんな車種がある?
サポカーというと趣味性の高いクルマは少なく、実用性の高いクルマが多いと思うかもしれないが、その該当リストには高級車やスポーツモデルなども含まれ、バリエーションは実に豊富だ。
スポーツタイプであればトヨタのGRカローラやGR86、ニッサンのフェアレディZが該当し、マツダのCX-30、ホンダのシビックTYPE R、スバルのインプレッサなどの人気車種のほか、SUVではホンダのヴェゼルSUVや三菱のアウトランダーPHEVなどが含まれている。もちろんトヨタのレクサスも対象車だ。
ただし、グレードによってはサポカーに含まれないものもある。各モデルのグレードまで含めた該当モデルは、警視庁の「サポートカー限定免許の対象車両」で確認できる。
高齢者ドライバーだけでなく、すべての人の安全のために
すでにサポカー補助金は終了しているが、安全装備は充実、対象車種も幅広ければ、サポカー対象車であっても家族で共有しても不便を感じることはないはずだ。
むしろ、運転ミスは高齢者だけの問題ではないので「衝突被害軽減ブレーキ」や「ペダル踏み間違い時の加速制御装置」などの装置が搭載されたモデルを選択すれば、家族の誰が運転しても安心だ。
AT限定免許も導入されたばかりのときは敬遠されていたが、いまや普通自動車免許の約7割を占めるほど普及している。75歳以上の免許保有者は、10年前の1.7倍、20年前の3.8倍に増加していることを鑑みると、サポカー限定免許の申請率も増加の一途をたどることは間違いないだろう。
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