悪徳中古車店の「悪い噂」 ビッグモーター案件は氷山の一画なのか?

悪徳中古車店の「悪い噂」 ビッグモーター案件は氷山の一画なのか?

 ビッグモーターが、神奈川県の3店舗で街路樹への除草剤と伐採を認めたという。該当店舗は電話で「原状復旧したいと考えている」と川崎市へ連絡をいれたそうだが、川崎市は川崎臨港署へ被害届を出す方針で、損害賠償の請求も検討しているという。

 信じられない内容が次々と明らかになっているビッグモーター。だが、中古車業界の闇は、ビッグモーターだけとは限らない。

文:吉川賢一
アイキャッチ画像:Adobe Stock_J_News_photo
写真:Adobe Stock、TOYOTA

こうした詐欺まがいの事案は、業界では昔からウワサはあった

 ビッグモーターの事業内容は主に、中古車の買い取りと販売、車検と一般整備、鈑金塗装業務および損害保険代理店などだ。ユーザーにとっては、保険修理の見積もりから板金塗装、中古車の買取から販売、自動車保険の契約など、一か所で完結できて便利なのだが、ビッグモーターの場合、第三者の目が入ることなく作業が完結してしまう仕組みとなっていたことで、保険金を過剰申告する、という事案が成立してしまっていた。

 ただ、第三者の目がはいったとしても、それが機能するとも限らない。交通事故などでクルマを修理する必要がある際、修理代などのお金に関するやり取りは、損保会社へ任せっきり、という方がほとんどだと思う。通常は、修理費用や損害補償などで不正が起きないよう、日本損害保険協会の資格を持った「アジャスター」が介入するのだが、万事で機能しないこともあるという。たとえば、損保会社の内部の者がグルになって、保険修理代金を水増しする手解きをしていたとなれば、我々ユーザーは気が付きようもなく、気が付かぬうちに被害(任意保険等級の下落による保険料金増額など)を受けている可能性もある。

 実はこうした詐欺まがいの事案は、昔から、中古車業者だけでなく、新車ディーラーなどでも行われているというウワサはあった。たとえば、ODOメーターを巻き戻しして距離を改ざんしたり、修復歴車を「歴ナシ」と改ざんしたり、冠水車の不表示、なかには、お客から預かった車両代金(現金)をセールスマンが横領するなんてこともあったそうだ。こうした業界全体の負の体質は、長い年月をかけて浄化されてきたように思うが、残念ながらいまも、きれいさっぱりとは言えない状況のようだ。

業界全体の負の体質は、残念ながらいまも、きれいさっぱりとは言えない状況の(PHOTO:Adobe Stock_beeboys)
業界全体の負の体質は、残念ながらいまも、きれいさっぱりとは言えない状況の(PHOTO:Adobe Stock_beeboys)

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