グレイス、シャトル、ジェイドはなぜ売れない?? 地味だけど実力派ホンダ車たち

グレイス、シャトル、ジェイドはなぜ売れない?? 地味だけど実力派ホンダ車たち

 ホンダのステーションワゴン、シャトルが5月10日にマイナーチェンジされる。

 シャトルは、今では希少となった5ナンバーワゴン。地味ながら実は2018年に約2万9000台を販売しており、年間販売台数でも32位にランクインしている。

 ちなみに、N-BOXは2019年3月の単月だけで2万5833台を販売。この台数には遠く及ばないが、それでもホンダ車にはシャトルを含めて「地味だけど頑張っている車」が少なくない。

 そこで、本記事記事ではシャトルに加えてグレイス、ジェイドの魅力を探りながら、拡販のためのテコ入れ策も考察したい。

文:永田恵一/写真:編集部


「希少で広い5ナンバーワゴン」シャトル

シャトル(2015年発売)/全長×全幅×全高:4400×1695×1545mm、2019年3月販売台数:2193台、価格:231万120円(ハイブリッドX ホンダセンシング)

 2015年登場のシャトルは、「エアウェイブ」(2005年発売)から始まった歴代フィットベースの5ナンバーサイズのステーションワゴン。2011年登場の「フィットシャトル」を経て、現在のシャトルが実質的な3代目モデルとなる。

 最大の魅力は、センタータンクレイアウトのフィットをベースとするだけに、キャビンとラゲッジスペースが広大なことである。

 キャビンはフィットと同様にコンパクトカーの車体ながらミドルクラス以上の足元空間を確保しているうえ、頭上空間も十二分で、大人4人が快適に過ごせる。

 ラゲッジスペースも570Lとミドルクラスステーションワゴン以上の容量を備えており、大きな荷物を持った大人4人での移動の際にも、お土産まで余裕を持って飲み込んでくれる。

 さらに地上からバックドア開口部までの高さも53cmと非常に低く、荷物が積みやすいのも有難い。

 また、大きな荷物を運びたい時にはリアシートがフラットに収納できるのに加え、フィット同様にリアシートの座面を跳ね上げられる機能もあるので、観葉植物のような高さのあるものを運ぶことも可能だ。

センタータンクレイアウト採用車とあって、2列目の床面は低く、高さのある荷物も積めるシャトルの室内

 パワートレーンは、CVTと組み合わされる1.5Lガソリンと、DCTを使う1.5Lハイブリッドの2つ。2018年の販売比率ではハイブリッドが80%以上を占めているが、ここで注目したいのはガソリン車だ。

 というのもシャトルの1.5Lエンジンは、フィット RSと共通のため最高出力は132馬力と、同じ1.5Lのマツダ ロードスターと同数値で、地味なクルマながらなかなかパワフルな余裕ある走りが楽しめる。

 緊急自動ブレーキも、全グレードに30km/h以上の速度域で作動する先行車追従型のクルーズコントロールも含まれるホンダセンシングが標準装備され、申し分ない。

 それでいて「G」グレードのみとなる1.5Lガソリン車の価格はFFで177万120円、LEDヘッドライトなどの「今から新車を買うなら欲しい装備」を付けてもカーナビを除いて200万円程度と、内容を考えれば非常にリーズナブルではないだろうか。

 5月のマイナーチェンジは、内外装の変更が中心になるようだが、ライバルはカローラフィールダーだけになった5ナンバーステーションワゴン市場で、マイナーチェンジを期に一層頑張って欲しいところだ。

「2列仕様で本来の魅力発揮した」ジェイド

ジェイド(2015年発売)/全長×全幅×全高:4660×1775×1540mm、2019年3月販売台数:425台、価格:255万8520円(RS ホンダセンシング)

 ジェイドはミドルミニバンの「ストリーム」と全高が低かった4代目オデッセイを統合したようなミニバンとステーションワゴンの要素をミックスしたモデル。中国などでの発売後、日本では2015年に登場した。

 日本仕様は1.5Lハイブリッドと1.5Lターボエンジン車があり、当初のモデルは2列目がキャプテンシートとなる6人乗りの3列シート仕様のみであった。

 特に1.5Lターボ車は、エンジンの回転フィールや乗り心地&ハンドリングといった車の質が良好で、スポーツミニバンといえるくらいワインディングロードなどでも楽しく運転できる車である。

 しかし、6人乗り3列というシート配列がちょっと普遍性に欠けたことや3列目がスポーツカーのリアシートのような広さしかない点、ホンダセンシングなしの1.5Lターボで253万円、ハイブリッドで272万円という価格も内容を考えると高く、販売は低空飛行が続いた。

ジェイドのベンチシート仕様の2列目。3列シート車としては中途半端だが、2列シート車としてみると、室内も広く、走りもスポーティで魅力的

 そういった状況を打破すべく2018年に施されたマイナーチェンジで、中国仕様に設定される2列目が3人掛けのベンチシートを追加。

 グレード体系もRSしかなかった1.5Lターボに標準系を、標準系しかなかったハイブリッドにスポーティなRSを加え強化。

 価格もホンダセンシングを含め十分な装備を持つベーシックな1.5Lターボ車の2列シート仕様「G」で239万8680円とするなど、全体的に値下げされた。

 マイナーチェンジ後のジェイドは、自慢の走りに磨きが掛かり、ベンチシートでも2列目の快適性は高く、スポーツワゴン的なキャラクターも持つ車となった。

 しかし、今年に入ってからの販売台数は残念ながらマイナーチェンジ後の目標の月500台に届かない300台程度と低空飛行のままだ。

 このまま埋もれさせてしまうのが惜しいジェイドには、パワートレーンの総数を減らしてもいいから、中国仕様にあるコストの安い1.8L・NAエンジンを積むなどして再度値下げをしてほしいと思う。

 あと20万円くらい安くなれば、月500台くらいは売れてもおかしくない車なのではないだろうか。

次ページは : 「高質で扱いやすい稀有なセダン」グレイス

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