クラウン&セドグロワゴン/バンにアヴァロン、それにエディックスなど案外国産車に採用例が。でもご覧の通り、今やすべて絶版に。使ってみると結構便利だけど、もしや日本の暮らしには合わないのか!? なんでフロント3人掛けシートは衰退したのか!?
文/小鮒康一、写真/HONDA、NISSAN、ベストカー編集部
■ワゴンだけじゃない!! クラウンにセドグロのセダンにもベンチシートあったゾ
アメ車に多く採用されていたことでも知られるフロント3人掛けのベンチシート。限られた室内空間でも最大限の乗車人数を実現することができるということもあり、1980年代~1990年代の前半くらいまでは意外にも国産車にもさまざまな車種に設定がなされていたことがあった。
もちろんセンター部分も座席となるので、センターコンソールはなし。ギアシフトもコラムとなるなど、一部内装のレイアウトに制約はあったものの、アメ車を思わせるベンチシートは一種の憧れを持って見られることも少なくない装備となっていたのだ。
近年ではキャブオーバータイプの一部のトラックなどでしか見ることができなくなりつつあるフロントベンチシートだが、当時はクラウンやセドリック/グロリアといった高級車にも設定があったことを覚えている人も多いだろう。
クラウン&セドグロはステーションワゴンモデルのイメージが強いかもしれないが、実はセダンモデルにもベンチシートの6人乗り仕様が存在しており、ミニバンが普及する前のタクシーなどでは一度に多人数乗車が可能ということで重宝がられた時代もあったのである。
とはいえフロントに3人座るのはなかなかに窮屈で、前席中央には誰が座るのかで揉めた経験がある人もいるのではないだろうか。
■ベンチじゃないフロント3人掛けも!! しかも工夫が素晴らしすぎたっ!!
フロント3人掛けの車両といえばベンチシートが当たり前だったが、1990年代後半から2000年代にかけては独立したシートでフロント3人掛けを実現するモデルも登場してきた。それが1998年にデビューしたフィアット ムルティプラや2004年に登場したホンダ エディックスだ。
イタリア車と日本車と全くキャラクターの異なる2台ではあるが、どちらも2列3人掛けのシートを備える6人乗りのモデルであり、ミニバンとは異なり短い全長のボディを持ちながらも多人数乗車を可能としたもの。
そして両車とも6人分のシートはすべて独立しており、個別にスライドやリクライニング可能で、3人が横一列に並んで窮屈な思いをしなくてもいいようになっている点が従来のベンチシート仕様車とは大きく異なる点となっていた。
このように意欲的なモデルであったムルティプラやエディックスであったが、結局どちらも1世代のみの販売で姿を消しており、現在も実質的な後継車種は存在していないのだ。
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