■どうしても全幅が拡大しちゃう……フロントベンチは日本に適さず
一見すると便利そうにも見えるフロント3人掛けシートだが、ベンチシートタイプの車両ではシートのホールド性が壊滅的になかったという大きなデメリットが存在していた。
一切前後左右にGがかからない自宅のソファーならいざ知らず、走行中はほぼ常にGがかかり続けるクルマにあって、平坦な座面と背もたれを持つベンチシートは、長時間の乗車には不向きという弱点があったのだ。
また快適に横に3人座ろうとするとある程度の車幅が必要となり、前述したムルティプラで1870ミリ、エディックスでも1795ミリと短い全長に対してかなり幅広い全幅に。せっかくの短い全長も帳消しになってしまうというのもデメリットのひとつと言えるだろう。
そもそもベンチシートが主流だったアメリカ車は言うまでもなく大柄なボディが特徴のひとつであり、5ナンバーサイズの車両や軽自動車が人気の日本の車両事情にはそもそもマッチしていなかったとも考えられる。
そして1980年代~1990年代では“大は小を兼ねる”的な考えで、同じ室内スペースなら多く乗れた方がオトク的な価値観もあった。
だが、近年では3列シートミニバンでも2列目キャプテンシート仕様が人気となっているように、消費者側もなんでも詰め込むのではなくある程度の余裕を求めるように変わってきたことも、窮屈なフロント3人掛けシートが廃れた原因と言えるのかもしれない。
【画像ギャラリー】多人数乗車からゆったり乗車へ!! 日本のカーライフから次第に姿を消していったフロントベンチシート(16枚)画像ギャラリー
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