歴代のスカイラインGT-Rの中でも特に人気がある、R32型スカイラインGT-R。生産終了から30年近くが経ったいまでも根強い人気があり、昔の国内レースで残した偉業やマンガやアニメでの活躍によって、10代、20代の若い層にも認知されているようだ。
ただ近年、その中古車価格は爆上がりしており、十数年前までは100万円台で購入できていたのが、現在では1000万円超を超える個体もでてくるほど。「高くなりすぎて、とても手が届かない」と思っていた人は多いと思うが、中古車買い取り業者によると、現在R32スカイラインGT-Rの相場には、変化が起きているという。
文:吉川賢一
写真:NISSAN
R32型スカイラインGT-Rの相場が下がり始めている
2023年9月中旬時点、大手の中古車サイトの検索でヒットしたR32型スカイラインGT-Rの流通台数は123台。価格帯は、25万キロ走行車で490万円ほど、6万キロ走行で1100万円ほどだ。なかには走行距離0.7キロで2500万円という奇跡の一台もあるが、10万キロ走行車だと500~800万円が相場となっている。当時の新車価格は500万円程度だったので、半数以上が新車を超える価格だ。
ただ、冒頭でも触れたように、中古車の流通に詳しい中古車買い取り専門店の担当者によると、業者向けの中古車オークションでは、R32型スカイラインGT-Rの中古車相場はここのところ様子が変わってきており、1年前は650万円(走行距離10万キロ未満。業者向け中古車オークションでの価格であり、市場価格とは異なる)だった相場が、9月時点では500万円(同)にまで、150万円ほど下がっているという。市販価格に反映されるまで時差があるため市場の相場には表れていないが、明らかに下落しているようだ。
バイヤーは、R34スカイラインに移行している
この理由について、前出の担当者は、アメリカの「25 年ルール」が関係するのではないか、という。「25年ルール」とは、米国の「安全基準を満たさないクルマは輸入できない」というルールの例外として、製造から25 年を超えたクルマは輸入ができる、というもの。ここ数年、1990年代の古い中古車の価格が上昇しているのは、この25年ルールが適用されることで、米国で人気のあるモデルがどんどん日本から輸出されていっていることが原因だ。
そして、今年2023 年は、1998 年式が製造年 25 年を超えるクルマとなる。1998年はちょうどR34型スカイラインが登場した年。北米のスカイラインファンの間では、映画「ワイルドスピード」の影響で、R34型スカイラインがもっとも人気が高いそう。米国のバイヤー達は、R32スカイラインGT-Rよりも、(非GT-Rであっても)R34型スカイラインのほうに興味が移行しているのではないか、ということだ。
実際、R34型スカイライン25GTターボの大手中古車サイトでの相場は500万円~900万円ほどと、R32型スカイラインGT-Rと価格帯がバッティングしている。R34型のほうが米国で人気があるのなら、たとえGT-RでなくてもR34型のほうを選ぶことは大いに考えられること。ちなみに、R34型スカイラインGT-Rは、大手中古車サイトで2500~7000万円という価格となっており、もはや庶民が手を出せるクルマではない。
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