現在のクルマは、国産メーカーのクルマであっても、各メーカーともグローバル販売に注力していることで、デザインが似たものになりやすい。そんななかでも日産がこれまで発表してきた、日本の伝統的な美意識を大切にした「和モダン」をコンセプトとしたモデルは、どれも優雅で洗練されており、個性が光る魅力的なモデルばかりだ。和モダンテイストを強調した日産車をいくつかご紹介しよう。
文:立花義人、エムスリープロダクション
写真:NISSAN、LEXUS
クルマに「モダンリビング」をとりいれた初代「ティアナ」
「洗練された大人のための高級セダン」をコンセプトに、2003年2月に登場した初代ティアナ。最大の特長は「モダンリビングを思わせる品格あるインテリア」だ。落ち着いた雰囲気を醸成するウッドパネルや、贅沢なソファのようなシートが採用されるなど、まさにクルマのなかを、モダンで居心地のいいリビングに仕立てていた。
日本人が「モダン」と捉える生活価値観を具現化するため、シルキータッチで質感のある表皮素材や柾目調木目、サテン調メタルなど、落ち着いた雰囲気をつくり出す素材をインテリアの随所に配置し、そのインテリアに調和するように仕上げられた、ソリッドで塊感のあるフォルムやスタイリッシュなサイドビュー、シンプルながらプレステージ感の高いリアビューなど、無駄のない洗練されたエクステリアも好印象。「走行性能の高さ」よりも、「インテリア」を一番に強調したモデルだったが、走りについてもしっかりとしたつくりこみがなされており、トップグレードには3.5リッターV6エンジンを搭載するなど、非常に上質な走りを実現していた。
難しいといわれるプレミアムコンパクトで成功を収めた「ノートオーラ」
2021年6月に、その半年前にフルモデルチェンジをした同社のコンパクトカー「ノート」の派生車として登場した「ノート オーラ」も、モダンなデザインが特徴的なモデルだ。コンパクトクラスでありながら、精緻な造形のフロントグリルや、ワイド感を強調したリッチな前後フェンダー、横一文字に点灯する先進的なリアコンビネーションランプ、魅力的な2トーンカラーのラインアップなど、所有欲をしっかり満たしてくれるディテールが満載。
もちろんその中身も、全車搭載の第2世代のe-POWERは滑らかで力強い加速をもたらし、静粛性も高く、走りもよい。プレミアムコンパクトカーは、価格も高めになるため人気を維持するのが難しいが、ノートオーラは、デザインとメカニズム両方の先進性と、誰もが「カッコイイ」と思えるデザイン性の高さで成功を収めている。利便性が追求されがちなコンパクトカーに、新しい価値観を取り入れた一台だ。
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