クルマに乗る上での命綱とも言える存在がシートベルトだ。現在では後部座席もシートベルトの着用が義務化されている。実際、市販車の3点式で効果があるのか疑問。そこで、シートベルトが果たしている役割や効果について今一度見てみよう。平成26年の国交省のデータをベースに紹介する。
文/西川昇吾、写真/Adobe Stock
■シートベルトの進化
昔はシートベルトの長さを自身で調整する必要があった。そのためゆるゆるな状態で着用していて、シートベルトの意味をなさない場合もあった。
しかし、現代のシートベルトは衝撃時にベルトがそれ以上伸びないようにロックするELRと呼ばれる装置が搭載されている。
また、衝撃を感知した時に自動でベルトを巻き取るプリテンショナー装置や一定以上の荷重がかかった時にベルトの拘束を段階的に緩めて身体に負担がかからないようにするフォースリミッターなど様々な装置が現代のシートベルトには採用されている。
3点シートベルトの基本形は1958年にボルボが開発した。そこから一見すると大きく変わっていないものの、細かな進化をしているのだ。
■前席で締めなかった場合致死率は14倍に
ではもしもシートベルトをしていなかったらどうなるのだろうか? まずは前方の座席の場合だ。もしも激しい事故が起きたときにフロントガラスを突き破って車外に放り出されてしまう可能性が高い。
致死率も少し古いデータだが、運転席で約14倍にも跳ね上がる。事故はあってほしくないものだが、もしもの時を考えて運転するときは必ずシートベルトを着用しよう。
そして、忘れがちなのが後部座席でのシートベルトの着用だ。「高速道路だけしてればいいでしょ」と思っている人もいるかもしれないが、そんなことはない。
2008年から高速道路、一般道問わずシートベルトの着用は義務化されている。しかし、一般道でのシートベルト着用率は2022年で42.9%とまだまだ少ない。
■もしも後部座席でシートベルトをしてなかったら?
もしも後部座席でシートベルトをしていなかったらどうなるのだろうか? まず、後部座席であっても車外に放り出される可能性がある。これは過去10年間の事故で約25%が後部座席でシートベルトをしていなかったがために車外に放出されている。
また、前のシートや天井、ドアなど車内の各所に激しくぶつかる。どれくらい激しいかというと、時速60kmの場合高さ14mのビルから落ちるのと同じだ。正直飛び降り自殺レベルである。
そして前席に座っている同乗者に危害を与えることもある。特に危害を与えやすいのが頭部だ。頭部を激しく損傷すると後遺症が残こる可能性があるし、何より命に関わる大切な部分だ。自身を、そして同乗者を守る意味でもしっかりと後部座席でもシートベルトをするべきだ。
後部座席でもシートベルトは必須とも言えるが、同乗者にシートベルトを着用させるのは運転者の義務だ。もしも後部座席の人がシートベルトをしていなかったら運転者の違反となる。
道路交通法第71条の3、第2項には以下のようにある。
自動車の運転者は、座席ベルトを装着しないものを運転者関以外の乗車装置(当該乗車装置につき座席ベルトを美えなければならないこととされているものに限る。以下この項において同じ。)に乗車させて自動車を運転してはならない。
簡単に言ってしまえば乗員全員が(シートベルトが装備されている場合)シートベルトを着用しなければ運転してはいけないということだ。シートベルトの着用はそれだけ重要ということ。この命綱を乗員全員でしっかりと着用して、安心したドライブを楽しもう。
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