CR-Xデルソルの意義と激変の裏事情 果敢な異端児!! 【偉大な生産終了車】

■大胆な挑戦 しかし背景には抜き差しならない事情も

 CR-Xデルソルが1代限りで生産終了となった理由。それを考えるには、初代&2代目CR-Xについても考えなければなりません。

 そもそも3代目のCR-X(デルソル)が奇天烈な(?)モデルチェンジを行わざるを得なかった背景には、「小型スペシャリティカー全般の人気低迷」があります。

 初代のバラードスポーツCR-Xはスマッシュヒットとなりましたし、2代目CR-Xも最初は好調でした。しかし市場そのものが縮んできてしまったため、ホンダとしては「キープコンセプト」のフルモデルチェンジを行うわけにはいきませんでした。

自由でのびやかな空間造りを目指した内装
自由でのびやかな空間造りを目指した内装
メーターパネルは、風を切って走るオープン感覚を強調し、ゴーグルをイメージした個性的なデザインが採用された(写真はともにSiR)
メーターパネルは、風を切って走るオープン感覚を強調し、ゴーグルをイメージした個性的なデザインが採用された(写真はともにSiR)

 それをやっても、一部の車好きは喜ぶでしょうが、商売としては立ち行かない可能性大だからです。

 そこでホンダが打った手が、冒頭で申し上げた「あの氷川きよしがビジュアル系に?」みたいな「あのCR-Xがアメリカ~ンな2座式電動オープンカーに!」という大胆なイメチェンだったのです。

 その心意気やよしではありましたが、残念ながら物事はそう簡単には運びませんでした。

 小型のスペシャリティクーペというのも小さめな市場ですが、「小型の2座式オープンカー」というのはさらに小さな市場です。そこに釣り糸を垂らしても、魚はいなかったわけです(もしくは、いたけど少なかった)。

 また、ほぼ同時期に初代マツダ ロードスターという怪物的人気を誇る競合がいたことも、少しは影響していたかもしれません。

 とはいえCR-Xデルソル、決して悪い車ではありません。

 快適なオープンエアが楽しめる割にボディの剛性感はたっぷりですし、VTECエンジンもさすがの好印象です。

 2代目CR-Xが終わるタイミングで「CR-X」の名を捨て、単なる「ホンダ デルソル」として発売したならば、もしたしたらデルソルは「地味な長寿モデル」に育った可能性はあったのかもしれません。

■ホンダCR-Xデルソル 主要諸元
・全長×全幅×全高:3995mm×1695mm×1255mm
・ホイールベース:2370mm
・車重:1120kg
・エンジン:直列4気筒DOHC、1595cc
・最高出力:170ps/7800rpm
・最大トルク:16.0kgm/7300rpm
・燃費:13.6km/L(10・15モード)
・価格:188万円(1992年式SiRトランストップ5MT)

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