2019年は10連休を含む歴史上に残るゴールデンウイークだった人も多いはず。
旅行やアミューズメント施設への移動で高速道路を利用した人も多いのではないだろうか? そんななか、担当はトンネル内の照明がかつてのオレンジから白い明かり(トップ画像のようなもの)に大幅に変わってきたことに気付いた。
数年前から目にはしていたがこんなにも多くの照明が白くなっていたか、なんとなく疑問にも思えた瞬間だった。
そこで今回は自動車ジャーナリストの大音安弘氏にNEXCO東日本に取材してもらいました。
文:大音安弘/写真:NEXCO東日本
■LED道路照明は蛍光灯の5倍の超寿命!!
仕事やレジャー、帰省など理由は人それぞれだが、クルマの長距離移動に欠かせない存在といえる高速道路。
一般道よりも制限速度が高いため、ドライバーが安全に運転できるように、日夜、路面の修理や清掃など徹底したメンテナンスが施されている。
そのなかで安全な視界確保をサポートしているのが、道路照明だ。以前は、照明といえば、トンネルなどを中心にオレンジ色(黄色)のイメージが強かったが、昨今はLEDライト(トップ画像)のような白色が中心となりつつある。
道路照明の色が変化していく理由を、東日本地域にある高速道路及び自動車専用道路を管理運営するNEXCO東日本に尋ねてみた。
現在、NEXCO東日本では、新たに道路やトンネルの照明を整備する場合、LED灯の採用が基本。
既に設置済みのものは、場所により異なる照明が使われている。道路照明では、黄色のナトリウム灯と白いLED灯のいずれかを。
トンネル照明では、黄色のナトリウム灯に加え、白色の蛍光灯とLED灯のふたつが使われている。
ナトリウム灯は、オレンジ色ではとの声もあるだろうが、確かに遠目ではオレンジ色だが、近くでは黄色に見えるのだ。
そんな黄色のナトリウム灯が道路照明に使われた理由は、効率に優れていたため。屋外や施設照明としてよく見かけた水銀灯よりも、約2倍の寿命があるそうだ。現在は、老朽化更新などに合わせ、順次LED化を進めているとのこと。
ただ現状は、ナトリウム灯や蛍光灯を利用している箇所も多いようだ。LEDへの切り替えを進めるのは、ナトリウム灯よりも自然光に近く、そして効率に優れるから。
標準的な寿命は、ナトリウム灯が約2万4000時間、蛍光灯が約1万2000時間と、このふたつでも2倍の寿命さがある。
しかし、LED灯は長寿命のナトリウム灯の2倍を超える、なんと約60,000時間。LED化は、ドライバーにも道路管理側の両方にメリットがあるのだ。
既存の照明は、いずれLEDへと改修されるわけだが、道路照明に関しては器具丸ごと交換して対応。
一方、トンネル照明に関しては、器具丸ごと交換するケースと器具内の装置を交換してLED化するケースのふたつがあるという。
■車両の進行方向を照らす効果もLEDにはあり!!
またLED化は、トンネルの照明方法にも変化をもたらしている。その一例が「プロビーム照明」だ。
これは光の直進性が強いLEDの特性活かし、車両の進行方向に光を当てて、前の車を見やすくするもの。
これは一方通行のトンネルにのみ使われている。このように照明の電灯だけでなく、方法も進化し続けているのだ。
より良好な視界を保つための道路照明だが、地域により道路の明るさに差があると感じたことはないだろうか。
この点を尋ねると、現地の状況に応じて照明の配置を決めているそうで、都市部など高速道路の外からの光の影響が大きい場所では、ドライバーが眩しくないように、照明を連続して設置するとのこと。
逆に郊外などは、走行に支障がないレベルで、明るさが下げられているケースもあるそうだ。
つまり見やすさを優先した結果というわけだ。さらに道路標識についても伺ってみた。
最近は、標識自体に照明を備えず、外からスポットライトにより照らされているものがある。
これは、照明設備自体を路肩の外側に設置することで、交通規制を実施することなく設備のメンテナンス(電球の交換等)を、安全に実施するため。
確かに、路外に光源があれば、道路上を規制する必要がなくなり、メンテンナンス時に発生する渋滞を防ぐことができる。このように時代と環境に合わせて変化する道路照明。
注目してみると、ほかにも新たな発見がありそうだ。但し、それはハンドルを握っていないときに。運転中は、その恩恵を感じつつ、前方に注視して安全運転を心掛けたい。
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