自動車技術の進化は、まさに日進月歩。近年、特に車全般のレベルは急速に上がっている。しかし、車そのものの出来は高いレベルにあっても、必ずしも乗り味が良いとは限らないのが自動車の難しいところであり、奥深さでもある。
そこで、本稿では自動車評論家で、レーシングドライバーの松田秀士氏が、どうしても走りが愛せないモデルを解説。
どれもも高い実力を持つ6台だけに、“乗り味”の面で足りない部分を解消できれば、さらに優れたモデルへと変貌する可能性を秘めている。
文:松田秀士/写真:編集部
ベストカー 2019年6月10日号
レベルは高いのに何かが足りないホンダ&トヨタの2台は?
■ホンダ クラリティPHEV
PHEVとしてのスペックは凄いですよ。スペースに余裕のあるSUVならたやすいと思うんだけれども、あのパッケージをセダンに押し込んで作ってしまったところが凄い!
でもね、足が硬い。バッテリーの重さもあるだろうけど、サスペンションが硬くて突っ張っている。その分乗り心地もちょっとね。
ハンドリングは悪くないのに、そこだけがどうしても好きになれない、ホンダ クラリティPHEV。
■レクサス CT200h
レクサス CT200h。このクルマだけはどうしても理解ができない。ベースがダメだと思う。一生懸命お金をかけて、いろんなところをブラッシュアップして、それでこのレベル。トヨタ式ハイブリッドのいいところを生かせていないんだね。
エンジン、サスペンション、ステアリング系、個々のシステムは高いレベルにあるのに、コラボレーションできていない。ハンドリングにスッキリとした柱がない。
このサイズ感でこのデザイン、とてもよくまとまっているのに、何かが足りない。
スバル&マツダの実力派SUVはちょっとやりすぎ!?
■スバル フォレスター
ハンドリングはSUVでもトップクラスですよ、フォレスター。ステア操作の応答性が速い。それはまずボディがしっかりしているから。
しかし、SUVにここまでの応答性が必要だろうか? 乗り心地をよくするために、ロール軸を重心に近づくよう上げることでロール剛性を上げている。
要はクルマの重心とロール軸はテコの原理で成り立っているワケなので……。で、そのぶんスプリングレート(=バネの硬さ)を落としている。つまり乗り心地がよくなっている。
でも、水平対向エンジンでもともと重心が低いのだから、そこまでやる必要はないと思う。ハンドリングに文句はないんだけどね……。
■マツダ CX-3
SUVでもう一台愛せないのはマツダ CX-3。
デミオベースでしょ。デミオはコンパクトでも抜群に走りがいい。そのSUVだから期待していたのだが、ちょっとこちらもツッパリ系のサスペンションになってしまっている。
ボディサイズからいってキビキビした走りを求めたのだけれども、スタッドレスタイヤを履いてちょうどいい前後バランス。で、サマータイヤだと突っ張る。
つまり、もうちょいストロークさせたいのだけれど、SUV用に車高を上げているからリバウンド(伸び側)のストロークが足りなく動かせない。いっそのことオールシーズンタイヤを履かせるという手もありますけど……。
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