タイヤ脱輪事故は「12月」が最多!! 「ちゃんと締めただけ」では危険!! 交換でやらかしやすい落とし穴

タイヤ脱輪事故は「12月」が最多!! 「ちゃんと締めただけ」では危険!! 交換でやらかしやすい落とし穴

 2023年11月、軽自動車から脱落したタイヤが女児に直撃し、重体となる事故が発生。原因は、脱落したタイヤのナットが5本とも外れるという整備不良だった。

 近年は、インターネットショッピングやネットオークション等で、タイヤ付きのホイールのほか、交換のための工具も手軽に入手できるため、自分で交換作業してみようと考える人も増えているかもしれない。ただ、タイヤつきホイールの交換は、難しい作業ではないものの、正しい知識と正しい道具を使用しなければ、前述のような悲惨な事故を起こしてしまう可能性がある。

文:吉川賢一
アイキャッチ画像:Adobe Stock_tkyszk
写真:Adobe Stock

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12月に多い!! 車輪脱落事故

 国土交通省がまとめている車輪脱落事故発生状況によると、令和4年度に発生した大型車の車輪脱落事故の発生件数は、過去10年間の統計至上最多となる、140件に及んだという(大型車の場合、脱輪事故の9割以上が「左後輪」に集中している。これは、旋回時の負荷が大きいことと曲がり方向とナットの緩む方向が同じこと、運転手が気づきにくいことなどの理由が考えられるので、特に左後輪は注意して確認しよう)。そのうち66%が令和4年11月から令和5年2月の冬期に集中、もっとも多かったのは12月だったそうだ。

 その主な原因には、ホイール・ボルトやナットに著しい錆があったり、ゴミなどの異物が付着していたなどの保守管理不良なども指摘されているが、一般ユーザーが乗用車のタイヤホイールを交換するときに気を付けてほしいのは、交換時の作業の内容、そして使用する道具だ。

トルクレンチはマスト、馴染ませた後の再チェックも必須

 まず気を付けなければならないのは、タイヤホイールを止めるためのナットの締め付けトルク(ねじりの強さ、回す力、ひねる力)だ。ホイールナットの締め付けには、指定された締め付けトルクがある。一般的な乗用車で100~120Nmほど、軽自動車の場合は80~100Nmほどだが、わからない場合は、クルマの説明書に記載されているので確認してほしい。

 ただ、車載の簡易工具でタイヤを交換する場合、実際にどのくらいのトルクで締め付けているのか、見極めることは難しく、適当に(もしくは力任せに)やっている方もいるはず。半年ほど前、SNS上で、ナット締め付けをする際にレンチの上に立ち、体重をかけて締め付ける動画が大問題となったが、指定されたトルクで締め付けるためには、トルクレンチは必ず必要。ネット通販で数万円もするプロ用製品もあるが、4,000~6,000円程度のモノでも問題ないので、自分でタイヤホイールの交換をするならば、入手してほしい(筆者も一つ持っている)。

 使い方は、まず、ついていたタイヤを外し、交換用タイヤに入れ替えたら、タイヤが落ちてこないよう、ナットを手で回せる範囲で軽く締める。その後、十字レンチなどで手ごたえがあるまで軽く締め付け、最後にトルクレンチで確認をする流れだ。トルクレンチが「カチン」となったら、それが規定トルクで締め付けられた証拠。それ以上締め込んでいくことは、オーバートルクとなりネジとナットを痛めるため避けてほしい。ナットは、対角線で(ナットが5つならば五つ星を描くような順番で)締め込んでいくようにしてほしい。

 また、すべて規定トルクで締め付けた後、近所を一周するなどでクルマを走らせ、その後再びトルクチェックをすることもポイントだ。ホイールが車軸側ハブに馴染むと僅かにナットが動く。経験上、追いトルクチェックをすると、ナットがわずかに回ることが多い。

ナットは規定トルクで一度だけ締め付ければよいのではなく、クルマを動かして馴染ませた後の再チェックも、重要な点検作業だ(PHOTO:Adobe Stock_kelly marken)
ナットは規定トルクで一度だけ締め付ければよいのではなく、クルマを動かして馴染ませた後の再チェックも、重要な点検作業だ(PHOTO:Adobe Stock_kelly marken)

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