スバルの人気ミドルクラスSUVである「フォレスター」。2018年6月に登場した現行SK系モデルは、剛性と強度に優れたSGP(スバルグローバルプラットフォーム)や、安心感の高いシンメトリカルAWD、そして悪路に強いX-MODEなど、スバル独自のメカニズムがぎっしりと詰まった、男前な骨太SUVだ。
このフォレスターの中古車相場に、いまある異変がおきている。中古車事情に詳しい人物に独自取材した。
文:吉川賢一
写真:SUBARU
2.0Lハイブリッド車の相場が急落する一方で、1.8Lターボの価格が高騰
まずは、現在のフォレスターのグレード構成を確認しておこう。現行モデルには、2.0L水平対向NAエンジン+e-BOXERの「ツーリング」と「Xブレイク」、「アドバンス」のほか、1.8L水平対向ターボの「スポーツ」と「STIスポーツ」、「XTエディション」という6つのグレードがある。デビュー当初は、2.5L水平対向NAエンジンがあったが、2020年10月からレヴォーグにも搭載されている1.8Lターボへと置き換わった。価格は、2.0Lハイブリッドが税込306~339万円、1.8Lターボが税込346~374万円(2023年12月中旬時点)だ。
中古車事情に精通している中古車買取専門店によると、いま業者向け中古車オークションにおいて、2.0Lハイブリッド車が急落し、1.8Lターボ車が急上昇するという現象が起きているという。具体的には、2023年1月には250万円で取引されていた2.0Lハイブリッド車が現在は180万円まで下落、その一方で、1.8Lターボ車は270万円から310万円まで上昇しているという。
ロシアで人気のフォレスターだが、日本政府による輸出規制で、2.0Lハイブリッドは輸出禁止に
2.0Lハイブリッド車の相場が急落して、1.8Lターボ車の相場が上昇している主な理由は、ロシア情勢だ。ロシアによるウクライナ侵攻によって、各国政府がロシアへの渡航禁止や輸出入制限をしており、トヨタや日産、マツダ、いすゞといった日本の自動車メーカーも、ウクライナ侵攻が始まってからロシアでの現地生産をやめ、事業撤退。この日本の自動車メーカーの事業撤退によって、日本メーカーの新車が入手困難となったロシア国内では、日本の中古車が爆発的な人気となり、日本から走行距離の少ない上質な中古車が大量に輸出されていくようになったそうだ。
これを問題視したのか、日本政府は2023年7月、1.9L以上のガソリン車、および電動車(ハイブリッド、PHEV、バッテリーEV)のロシア輸出を禁止に。これまでロシア輸出の人気車種だったプリウスやノートe-POWERなどのハイブリッド車や、ランクルプラドやフォレスターなどのミドルクラスSUVが、ロシアへは輸出できなくなった。
フォレスターは、もっとも好ましいミドルクラスSUVとして賞を取ったことがあるほど、ロシア人に人気のSUVだが、この日本政府による輸出規制によって、2.0Lハイブリッド車は輸出ができなくなった。ただ、1.8Lターボは規制をすり抜けることができたため、1.8Lターボの相場が爆上がりし、ロシアへ輸出ができなくなった2.0Lハイブリッド車は、相場が下落してしまったのだ。
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