携帯電話でもスムーズな動画視聴ができるようになったおかげもあり、今やクルマのDIYは「マニア」じゃなくても手軽に行えるようになった。でもちょっと待って! もしかしたらその改造、違法改造になってませんか?
文/今坂純也(DIRT SKIP)、写真/トヨタ、日産、写真AC
【画像ギャラリー】DIYでやってしまいがちな違法改造とは?(8枚)画像ギャラリー■そもそもクルマのDIY行為は違法? 合法?
「ブレーキの分解は自分で整備してはダメ」「エンジンを下ろして行うような整備もダメ」と言う人がいるが、道路運送車両法の第47条には「自動車の使用者は、自動車の点検をし、及び必要に応じ整備をすることにより、当該自動車を保安基準に適合するように維持しなければならない」と書いてある。
この“使用者”とは、車検証に使用者として記載されている者を指している。よって、本来自分のクルマは自分で点検・整備を行って車検に通るようにしなければならない。
ブレーキやエンジンなどの重要保安部品の整備であっても使用者が行うぶんには法的に問題はない。もっと言うと、「法的に問題はない」どころか、「自分で自分のクルマを保安基準に適合するように整備を行うことは義務」なのである。
だが、整備に自信のない人は自分で行わず、プロショップに依頼して問題ない。整備には自信がないのでプロショップにお願いするとして、もう少し簡単そうな改造は自分で……と思う人は多いだろう。
そこで、今回は違法改造になりがちなDIY作業についてまとめてみた。
■フロントウィンドウや前席サイドウィンドウのフィルム貼り
「そもそもフィルムを貼ること自体が違法だろ!」と言う人もいるかもしれないが、フロントウィンドウや前席サイドウィンドウのフィルムは、保安基準に適合していれば貼っても違法ではない。
以前は保安基準に適合しているかどうかの測定方法の基準が曖昧で、正確な判断さえ難しかったために、「基本的に貼るのはNG」となっていただけの話。
現在のウィンドウフィルムにはプライバシー保護効果、UVカット効果、遮熱効果、万が一のガラス飛散防止効果などのメリットもあるため、保安基準に適合するものであればぜひ施工したいもの。
ウィンドウフィルムに関して、国土交通省が定める道路運送車両法には「運転者が交通状況を確認するために必要な視野の範囲に係る部分における可視光線の透過率が70%以上のものであること」と記載されている。
可視光線の透過率は可視光線透過率測定器で測定されるが、テスターは大別して2種。ひとつは独立行政法人自動車技術総合機構の検査場が使う可視光線透過率測定器、もうひとつは簡易測定器と呼ばれるもの。
簡易測定器はガラス透過率測定器ともいわれる。認証工場や指定工場でこれを使う場合は、その製品のそもそもの仕様からくる誤差、使用しているうちに誤差が出るようになっている可能性もあるので注意。
前述の「70%以上のもの」とは、フィルム単体ではなくガラスに貼った状態での話。DIYで施工して認証工場や指定工場で透過率を測定してOKだったのに保安基準に適合しない、経年劣化のため“今回の車検では”保安基準に適合しない、他車では保安基準に適合するフィルムなのに自車では適合しないなどということも充分起こりうる。
なぜなら、最近のクルマに採用される赤外線や紫外線カット効果のあるウィンドウは、フィルムを貼ってしまうと通常のウィンドウに貼った場合よりも可視光線透過率が大きく下がる場合があるからだ。
よって、ウィンドウフィルムはDIYで施工せず、ウィンドウに貼った場合の性能を熟知し、正確な可視光線透過率を測定できるなどの“カーフィルムのプロショップ”で相談したうえでの施工をお薦めする。
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