ダイハツの不正が発覚し、その後に豊田自動織機の不正も発覚。トヨタグループとしては非常に厳しい1年となりそうだが、今回の豊田自動織機の不正ではランドクルーザー/ランドクルーザープラドについても不正が発覚した。「生きて帰る」を標榜してきたランクルの歴史に泥を塗ってしまった形になるが、今後どうすべきなのだろうか。
文:ベストカーWeb編集長 塩川雅人/写真:トヨタ
■70年以上の歴史にケチがついた
ランドクルーザーの歴史は1951年の「トヨタBJ」から始まった。本格的に「ランドクルーザー」の冠がついたのが1955年の20系。そこからご存じのとおり40、60、70、80、100、200、300系とランドクルーザーはモデルを紡いできた。
1990年に「プラド」が70系統に登場し現行の150系まで、アーバンライクに乗れる4WDとして「ランドクルーザープラド」が定着。多くのユーザーが身近にランクルを味わえるようになったのもブランド拡充には大きな役割を果たした。
そんなランクルのコンセプトは「生きて帰る」。電気もガソリンスタンドもない荒野が広がるオーストラリア、さらには砂漠を中心に寒暖差が激しい中東、サバンナのアフリカなどランクルの行動範囲は世界中。だからこそ一番大切なことはクルマが破損しようが故障しようが、とにかく乗員が「生きて」家に帰れることなのだ。
その信頼性を70年の歴史で紡いできたのがランドクルーザーであり、ランドクルーザー開発陣の「そこまでやるの!!?」というこだわりだった。しかし今回とんでもないケチがついてしまった。
■名機1GDエンジンにまさかの不正
今回の豊田自動織機の不正はやや闇が深いというべきか、トヨタとの関係性の歪みがあるように思われる。まず整理したいのがランクルシリーズ搭載の1GDとF33Aの両ディーゼルエンジンについて、トヨタは豊田自動織機に開発を依頼しているということ。
不正の実態としてはエンジンの出力が安定するように市販用とは異なるECUを使い、スペック上のバラつきを抑えてトヨタに報告したというもので、これがまた難解な印象を与える不正だ。
結果的にはエンジンスペックを偽装しているわけではなく、豊田自動織機が依頼主のトヨタへ向けて妙な気遣いをしてしまい、挙句の果てに市販車とは異なるECUを使うという暴挙に及び、エンジンスペックを「整えて」伝えてしまった。残念ながら誰も得をしていない不正なのだ。
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