■クロスオーバーやスポーツモデルのバリエーションがあれば
マツダ6は顧客のことをまったく考えない開発陣の妙な意地(悪い意味でのこだわり、と言い換えてもよい)により、世界規模で売れ行きが伸び悩んでしまった。
すでにステーションワゴンのニーズはなく、スバルですらツーリングワゴンを引っ込めクロスオーバーのアウトバックに絞っている。
当時、私は開発のトップにマツダ6のクロスオーバーを作ったら売れると進言したし、社内からも作りたいという声がたくさん出ていたようだ。しかし、開発のトップは「マツダらしくない!」と頑なだった。
マツダ6をベースにアウトバックのようなクロスオーバーを作ったら、大成功したと思う。何より圧倒的にスタイリッシュ!
私の読者がマツダ6のクロスオーバーをCGで作ってくれたけれど、これほど美しいクロスオーバーはないというレベル。トルクフルで燃費いいディーゼルエンジンをラインナップすることも強い武器になっただろう。
セダンについて言えば中国を除き市場がシュリンクしており、厳しかった。マツダスピードのようなスポーツモデルを作っていたら面白かったかもしれない。
●国沢光宏が再評価
・デザイン:5
・ハンドリング:4
・動力性能:4
・質感:4
・惜別度:5
(TEXT/国沢光宏)
■マツダのクルマ造りを象徴する一台
現行マツダ6は、2012年に3代目アテンザとして発売された。魂動デザインとSKYACTIV技術によるマツダ車の先駆けで、新世代商品の最上級車種だった。
ボディタイプは今と同じくセダンとワゴンで、両車のホイールベースは異なる。セダンは2830mmと長く、後席の足元空間を広く確保して走行安定性も優れている。
ワゴンは80mm短い2750mmで、後部のオーバーハングを長くすることにより、広い荷室面積を備える。ワゴンは最小回転半径も0.1m小さく、両ボディの個性を明確に分けていた。
そして2012年当時は、レガシィB4、マークX、ティアナなど、上質で買い得なセダンも豊富に用意されていた。セダンは低重心で、後席とトランクスペースの間に骨格や隔壁が入るから、ボディ剛性も高めやすい。
後輪が路上を転がる時に発するノイズも居住空間に侵入しにくく、セダンは走行安定性、乗り心地、快適性を高める上で有利だ。
これらのセダンが持つ特徴は、今のマツダが目指すクルマ造りの方向性とも一致する。つまりマツダ6は、マツダのクルマ造りを象徴する商品でもあったのだ。
●渡辺陽一郎が再評価
・デザイン:3
・ハンドリング:4
・動力性能:4
・質感:3
・惜別度:5
■アテンザに対するあの期待は忘れない
マツダ6というより、アテンザセダン/ワゴンと呼びたいんだけど、あのクルマはいろんな意味で、もの凄く注目していたよ!
まずデザイン。ベースになったのは、2011年の東京モーターショーに出品された「雄(TAKERI)」だ。その「雄」を見て、モーレツに期待が高まっていた!
マツダの人は「ほぼこのまんま出ます」って言ってたからね。うおおおお、ならメチャメチャカッコいいじゃん! って。
翌年登場したアテンザは、そこまではカッコよくなかったんだよね……。なにしろ期待値が高すぎたからさ。でも、SKYACTIV-Dとの組み合わせは、当時の国産セダン/ワゴンの革命だったと思うんだ。
クリーンディーゼルを積んだスタイリッシュなセダン/ワゴンなんて国産唯一で、まるで欧州車みたいだった。
その後、名前がマツダ6に変わっても、「まあまあカッコいい、ヨーロピアンなセダン/ワゴン」という大筋はなにも変わらなかった。そして年月とともに陳腐化した。
でも、アテンザに対するあの期待を忘れることはないよ!
●清水草一が再評価
・デザイン:3
・ハンドリング:3
・動力性能:4
・質感:4
・惜別度:3
コメント
コメントの使い方ここまでヨイショせずとも、ワゴンがラインアップされてただけでも、十分価値があったと思うのですが
売れなかったから刷新もされなかったモデル。厳正な眼の消費者に売れないのには必ず理由ありますもんね
開発のやる気が感じられる車でした……12年前に出た当初は。
そこからは、全く愛を感じない完全放置状態。
改善要望点は多く上がったのに一切手をつけず、マツコネですら初期のまま
近年やっと初めての改良がはいったと思ったら外見小変更で、こうして廃止へ。
MAZDAファンなら、誇るどころか本社へ不信感が沸く、気の毒な車種代表と捉えてますよ
EUや他でも6の築いたMAZDA評は圧倒的で、大切な車種だったのに