「なんでこうなった!?」 開発した人を小一時間ほど問いただしてみたい、でも憎めない「ざんねん」なクルマたち、エピソードを集めた『ざんねんなクルマ事典』『ますます! ざんねんなクルマ事典』(小社刊)。
日本のクラシックカーや絶版車、珍車についての知識にも定評あるモータージャーナリスト、片岡英明氏監修による本書から、正直やめちゃって勿体ないモデルも多い? 歴史に消えたマツダ車4台をご紹介!
監修/片岡英明、写真/マツダ
■5チャンネル化による大混乱のせいで評価されなかった佳作 マツダ クロノス(1991-1995年)
●デザインもエンジンも本当は割と良かったのに……
「カペラ」に代わって1991年に登場した3ナンバーサイズのセダン。
搭載エンジンは新開発された世界最小クラスの2L V6DOHCがメインで、これがなかなかの逸品でした。そしてデザインも曲面を多用したセクシーなもので、これまたなかなかのものでした。
しかし当時のマツダは販売店の系列をやたらと増やし、それに伴って似たような車種もやたらと増やしていたため、クロノスは大混乱のなか、その実力を評価されないまま生産終了となりました。
・発売年月:1991年10月
・エンジン種類:V6 DOHC
・総排気量:1995cc
・最高出力/最大トルク:160ps/18.3kgm
・全長×全幅×全高:4695×1770×1400mm
・車両重量:1220kg
・諸元記載グレード:1991年式 20VG 4AT
●ざんねん度:★★☆☆☆
■ダウンサイジングの先駆けでもあった良質なセダンだったが…… マツダ ユーノス800(1993-2003年)
●「3L並みの出力」と「2L並みの燃費」を両立
ユーノス店のイメージリーダー兼フラッグシップとして開発され、1993年10月に発売された「ユーノス800」は、確かになかなか素敵なフラッグシップセダンで、今日では当たり前となっている「ダウンサイジングコンセプト」の先駆けでもありました。
ミラーサイクルエンジンというものを世界で初めて量産車に搭載し、「3L並みの出力」と「2L並みの燃費性能」を見事に両立させたのです。
しかしさっぱり売れず、2003年8月にはあっさり生産終了となりました。
・発売年月:1993年10月
・エンジン種類:V6 DOHC
・総排気量:2254cc
・最高出力/最大トルク:220ps/30.0kgm
・全長×全幅×全高:4285×1770×1395mm
・車両重量:1520kg
・諸元記載グレード:1993年式 MC-V
●ざんねん度:★★☆☆☆
■販売チャネルの混乱とブランドイメージ低下がこの名作を“殺した” マツダ ランティス(1993-1997年)
●今見ても色あせて見えない「偉大な生産終了車」
マツダ ランティスは、ファミリア系から独立する形で新しい車台を採用した5ナンバーサイズの5ドアハッチバック。
エンジンはロードスターにも使われた1.8L 直4 DOHCと、2L V6DOHCの2種類で、トランスミッションは5MTまたは電子制御4速ATです。
コンパクトなクルマではありましたが、タイヤをボディの四隅に配することでホイールベースは2605mmと長めに取ることができ、キャビンの前後長も十分といえるものでした。つまり、居住性は良好でした。
そして前後のオーバーハングを極端に切り詰めたことで、このなんともキレの良い個性的なフォルムが生まれたのです。
しかし当時のマツダは多チャンネル向けにとりあえずいろいろなクルマを濫造していたため、そのブランドイメージは地に落ちていました。
そのため、なかなかの力作であったにもかかわらず、ランティスの人気は今ひとつ盛り上がらず。
1997年12月、ランティスは静かに国内での生涯を終えることになりました。
・発売年月:1993年9月
・エンジン種類:直4 DOHC
・総排気量:1839cc
・最高出力/最大トルク:135ps/16.0kgm
・全長×全幅×全高:4245×1695×1355mm
・車両重量:1140kg
・諸元記載グレード:1996年式 クーペタイプG 5MT
●ざんねん度:★☆☆☆☆
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