■ダイハツ改革に向けた、異例の人事が示すもの
本末転倒なのです。
改善し続けるのがトヨタ生産方式で、結果として高い効率が生まれます。
豊田会長が掲げたビジョンとは、トヨタ生産方式の原点に立ち戻ることなのです。
豊田会長がグループ統治の責任者となることで、この先、豊田会長の顔に泥を塗るような行為は影をひそめるでしょう。グループのコンプライアンス意識は改善し、中・長期的な不正リスクは軽減できると考えます。
ダイハツの新経営体制には海外経験が長い井上雅宏氏が社長に就任しました。
驚きはトヨタ九州元副社長の桑田正規氏が副社長に就任し、風土や組織の改善に取り組むところです。異例の人事と言わざるを得ず、トヨタがダイハツ改革に全力で取り組む意思が見て取れます。
ダイハツは一旦軽自動車事業に特化させるという仮定の「軸」を置き、そこからダイハツの事業領域のあるべき姿を模索する方向です。
そうはいっても、ダイハツ抜きにトヨタのアセアン戦略は考えられません。ダイハツが復活しなければ、新興国における強みを活かそうとするトヨタの基本戦略の基盤が崩れていくことを意味します。
●中西孝樹(なかにしたかき):オレゴン大学卒。1994年より自動車産業調査に従事し、国内外多数の経済誌で人気アナリスト1位を獲得。著書多数
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