同じ血筋のはずが…似て非なるものになった「兄弟車」列伝

同じ血筋のはずが…似て非なるものになった「兄弟車」列伝

 クルマには、基本設計やコンポーネンツが共通の兄弟車が存在することがある。しかし、ほぼ同じクルマでありながら売り上げや評価が大きく分かれてしまった……などというケースも。今回は、異なる運命を辿った兄弟車にスポットを当てる。

文:長谷川 敦/写真:インフィニティ、ダイハツ、トヨタ、日産、ホンダ、BMW

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販売メーカーが違った兄弟車

●トヨタ ライズ/ダイハツ ロッキー

同じ血筋のはずが…似て非なるものになった「兄弟車」列伝
トヨタ ライズ。ダイハツと共同開発されたモデルであり、プラットフォームはダイハツ製DNGAを使用する。ガソリンエンジン車とハイブリッドモデルを販売

 自動車の世界において意外に多いのが、他メーカーが製造したモデルに自社の名を冠して販売するOEM(Original Equipment Manufacturing)。

 世界屈指の大メーカーである日本のトヨタでも、他のメーカーからのOEM供給を受けている車種がある。

 コンパクトSUVのライズがそのモデルで、製造しているのはトヨタの子会社でもあるダイハツだ。

 ダイハツは、自社でもライズとほぼ同じクルマをロッキーの名称で販売している。

 ライズ&ロッキーを製造しているのはダイハツだが、これらのモデルの開発はトヨタとダイハツが共同で行っている。

 ライズとロッキーはそれぞれ異なる顔つきをしているものの、中身はほとんど同じといってよい。

 だが、大きく違うのはその販売台数で、2025年の販売台数はトヨタ ライズが10万台強なのに対し、ダイハツ ロッキーは1.7万台と5倍以上の差がある。

 これは会社規模の違いに加えて、トヨタのラインナップが普通車中心で、ダイハツは軽自動車がメインという違いも要因になっていると考えられている。

 とはいえ、ロッキーの販売が苦戦しているわけではなく、むしろ堅調といえるのが救いになっている。

●トヨタ スープラ/BMW Z4

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5代目トヨタ スープラ。先代のA80型スープラの生産終了が2002年で、2019年にこのモデルが発売されるまでスープラの歴史は終了したと思われていた

 2019年、先代の生産終了から17年の時を経て復活したトヨタのスポーツカー・スープラは、往年のファンを歓喜させた。

 しかし、この5代目A90(DBの型式もあり)型スープラはトヨタが独自で開発したものではなく、ドイツ・BMWとの共同開発によって誕生している。

 5代目スープラの開発にあたり、トヨタでは歴代スープラシリーズの直6エンジン+後輪駆動(FR)というコンセプトを継承することを決め、直6エンジンを得意とするBMWの協力を得ることになった。

 この協力によってBMW側では自社モデルの3代目Z4を開発し、スープラとZ4はルーツを同じにする兄弟車となった。

 兄弟車といっても、ライズ&ロッキーとは異なり、基本的にスープラとZ4は独自に開発が進められ、完成した両車にはかなりの違いがある。

 車体の製造に関しては、スープラ・Z4ともにオーストリアのマグナ・シュタイアが担当する。

 5代目スープラは一定以上の評価を得るが、純粋なガソリン車であるだけにエコ重視の現代にはフィットせず、BMWとの契約満了もあって2026年3月での生産終了が決定している。

兄の栄光を引き継げたのか?

●三菱自動車 パジェロ/パジェロイオ

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1998年発売の三菱自動車 パジェロイオ。見た目どおり小型版のパジェロだが、パジェロのラダーフレームに対してこちらはモノコックボディを採用していた

 現在では生産を終了しているが、三菱自動車が販売していたSUVのパジェロは歴史に名を残す名車といってよい。

 日本国内では1982~2019年に販売されていたパジェロは、その歴史においていくつか派生車を生み出していて、1998年に登場したパジェロイオもそうした“パジェロ兄弟”の一台だ。

 パジェロイオはパジェロの弟分だったパジェロジュニアの後継車として登場し、独自のシャシー&ボディを持っていた。

 当初のラインナップは3ドアモデルのみだったが、すぐに5ドア仕様が追加され、エンジンバリエーションも3タイプが用意された。

 パジェロイオは現代のコンパクトSUVに近いサイズながら、中身は本格的なSUVであり、その点においてパジェロの名を冠するにふさわしいモデルだった。

 だが、大柄な3ナンバーモデルのパジェロに対して5ナンバーサイズのパジェロイオには少々もの足りなさを感じる人も多く、市場においてもそこまで目立つクルマにはなれなかった。

 そんなパジェロイオは、後継モデルを残すことなく2007年に国内での生産を終え、国内販売も翌年に終了している。

●ホンダ クロスロード(2代目)/CR-V

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2代目ホンダ クロスロード。初代モデルはイギリス・ランドローバー ディスカバリーのOEM車だったが、こちらの2代目は新規に開発されている

 ホンダのクロスオーバーSUV・CR-Vは、初代モデルが1995年にデビューし、2006年登場の3代目からは車格をアップ。現在では6代目が走っている。

 そのCR-Vの車格が上がる際に、既存ユーザーの受け皿として生まれたのが2代目クロスロードだ。

 クロスロードとしては2代目だが、実際には先代と10年以上の隔たりがあり、新生クロスロードは2代目ストリームをベースにした新規開発モデルだった。

 2007年に期待とともに登場した2代目クロスロードだが、販売は思うように伸びず、2010年には早くも製造販売が打ち切られてしまった。

 この時代のコンパクトクロスオーバーSUVは現在ほどの人気を獲得しておらず、兄貴分のCR-Vに比べてチープな感じを持たれてしまったこともクロスロードの苦戦の要因だと考えられている。

 販売成績は不振に終わった2代目クロスロードだが、クルマとしての出来はけして悪くなく、現在の中古車市場では一定の人気を得ているという。

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