最近、どこもスポーツカーを出していてクルマ好きとしてはこの上なく嬉しい! まぁ買えればなんだけどね……スポーツモデルに限った話じゃないけどさ、平気で2、3年かかるこの現状ってなんで起きてるの? こっちとしては早く乗りたいんだけどなー。
文/西川昇吾、写真:TOYOTA
■やっぱりみんなスポーツカーが欲しかった!
第一の理由としては供給できるキャパシティに対して需要が過多になっているということがある。
スポーツモデルは基本的には生産数の少ないモデルであり、自動車メーカー側も多く生産することをあまり想定していない。
しかし、近年は「内燃機関で最後のスポーツモデルになるかも」「今のうちに内燃機関のスポーツモデルを買っておかないと…」といった風潮もあってか、スポーツモデルの需要が想定よりも高い傾向にある。
そこにコロナ禍から続く半導体不足なども関係してくる。コロナ禍になり半導体の需要が高まり世界的な半導体不足へと陥った。
現在は一時期ほどではないが、自動車用の半導体というものはスマートフォンやパソコンなどに使われるものに比べて利益率が低い。
そのため半導体メーカーからすると自動車用の半導体の優先順位は低くなってしまう。これが今でも自動車で半導体不足と言われている理由だ。
■グローバルモデルであるがゆえに……
また、歴史的な円安も理由として考えられる。アフターコロナから急激に円安傾向に進み、1ドル150円にまで円安は進んでいる。
現代のスポーツモデルのほとんどが海外でも販売されているグローバルモデルだ。
輸入車では最近この円安に合わせてか、以前よりも頻繁に価格改定が行われている傾向があるが、国内メーカーはそう簡単にはいかない。
しかし、円安の日本で販売しても利益としては厳しい。そうなると海外市場に優先的になってしまうという背景もあるのではないだろうか。
■CAFÉ規制も関係あり?
そして推測ではあるものの、CAFE規制も関係あるのではないだろうか。
CAFÉ規制は「企業平均燃費方式」と呼ばれるもので、メーカー全体で1年間の販売台数における平均燃費が、基準をオーバーした場合に罰金が科せられるというものだ。
この規制をクリアするには低燃費なモデルの販売台数を増やしたいのは誰もが想像つくはず。
反対に燃費の良くないモデルが多いスポーツモデルを沢山販売していれば罰金を支払わなければいけない必要が出てくる。
自動車メーカーとしても、需要になるべく応えたいけれどもCAFÉ規制を考えるとその需要に応えることが出来ない……そんなジレンマがあるのかもしれない。
自動車を取り巻く環境は日々変化している。一昔前に比べてスポーツモデルが増えたと言っても、スポーツモデルを取り巻く環境は厳しく、手放しでは喜べない状態だ。
しかし、そんな厳しい状況の中でもスポーツモデルを造ってくれている自動車メーカーには賞賛を与えるべきだろう。
「ホームページにあっても買えないじゃないか」という声があるかもしれないが、自動車メーカーにとっても苦悩があるはずだ。
いつか自動車メーカーも気持ちよく大腕を振って自慢のスポーツモデルをじゃんじゃん販売出来る日が来て欲しい。
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