我々ドライバーが1日1回は目にする「赤ちゃんが乗っています」というステッカー。このステッカーが作られた背景には重い背景がある話は有名だが、近年ではこのステッカーを本当に意味分かってるのか? と疑問に思うクルマも増えてきたように感じる。そこで今回はステッカーの意味を再認識して、その意味を考えていこう。
文/佐々木 亘、写真:Adobe Stock(トップ画像=OceanProd@Adobe Stock)
■赤ちゃんが乗っています表示は義務ではない!
カー用品店はもちろん、ベビー用品専門店など、多種多様な場所で販売されている赤ちゃんカーサイン。
筆者がベビー用品店でチャイルドシートを購入したとき、店員から「これ(カーサイン)も一緒に買ってください!表示しないとダメなんで。」と言われ、面食らったこともある。
この時、筆者は購入を丁重にお断りしたのだが、店員からこうも言われてしまっては、貼らないとダメなんだと思っている人が増えてしまうのも無理はないだろう。
日本国内で、自動車運転者が表示するマークは4種類定められている。まず誰もが通る初心者マーク(初心運転者標識)、70歳以上の運転者が表示する、もみじマークともいわれた高齢運転者マーク(高齢運転者標識)が代表的なところだ。
初心者マークは表示が義務となり、該当ドライバーが表示しない場合は道路交通法違反になる。一方、高齢運転者マークは70歳以上のドライバーに表示するよう努めてくれとお願いしているマークだ。
この他、蝶々柄の聴覚障害者マーク(聴覚障害者標識)と、四葉のクローバーの身体障害者マーク(身体障害者標識)があり、聴覚障害者マークは表示が義務付けられ、身体障害者マークは表示するよう努めてくださいという扱いになっている。
これらのマークは、表示をすることにより当該ドライバーを保護し、周囲のドライバーが危険を予知しやすいように表示を求めているものだ。
「赤ちゃんが乗っています」のカーサインは、表示義務も表示努力を求められているわけではない。
チャイルドシートの装着が義務化されているため混同しやすいが、赤ちゃんカーサインには、何も法的な意味がないということを、初めに認識しておく必要がある。
■それって本当にカーサインでお願いしないダメなことなのか?
「赤ちゃんが乗っています」ステッカーやマークをクルマに貼る人は、他の運転者に対して注意喚起を行っているわけではないだろう。
「赤ちゃんを乗せているから配慮してね」という気持ちで貼っていることが多いと思うのだ。
具体的には「クラクションを鳴らさないで!」「煽らないで」というお願いだと思うのだが、そもそもみだりにクラクションを鳴らす行為や煽り運転は、前のクルマに赤ちゃんが乗っていようといまいとやってはいけない。
ただ、そんなことすらカーサインでお願いしないと避けてもらえない世の中になっているということも、多くのドライバーが頭に入れておかなければならない事象だと思う。
子供への衝撃を少なくするため、ある程度凸凹の道はゆっくり走りますというのも至極当たり前のこと。
しかしこうした当たり前の運転に対して、威嚇・威圧するマナーの悪いドライバーが増えているのだろう。
赤ちゃんが乗っていますサインを出すことで、こうした危険運転から身を守ることが出来る。そう期待して、積極的に表示する人も増えていると思うのだ。
様々なカーサインが増えている背景には、ドライバーの日常運転時の余裕の無さが、大きく関係しているのではないだろうか。
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