■で……タイヤは太くてデカいほうがいいんだよね?
太いタイヤは見た目にカッコイイというのもあるが、多くはタイヤのグリップ(摩擦力)を得ることがその目的。
細いタイヤと比較して路面との接地面積が大きいので、加速時やコーナリング時にある特定のタイヤへ大きな荷重がかかった時に大きなグリップを発揮できる。同じゴム素材であれば細いよりは太いほうが高いグリップを発揮する。
だが、一般道を走る普通乗用車のタイヤをただ太くしてもあまり意味はない。意味はないどころかデメリットだらけになる。接地面積が広い=摩擦力が大きいことが、逆に転がり抵抗の増大となってしまう。
きれいに整備されたサーキットではなく、荒れた路面もある一般道では路面の凹凸にハンドルを取られやすくなることもある。大径化とともに行われやすい偏平タイヤ(数字の小さい)はエアボリュームが少なくなって乗り心地も悪化……そう考えるとあまりメリットはなさそうだ。
となると、「自分のクルマのベストサイズは?」を考えたい。やはりメーカー指定のサイズが基本だろう。一般道で考えられるあらゆるシーンで、高燃費やハンドリングの軽快さ、乗り心地のよさ、総合的な走行性能などを考えた場合に、最も高いポテンシャルを発揮できるように設定されているのがノーマルサイズだからだ。
ただ、「見た目にカッコイイ」のは、ノーマルサイズより太くて大径なタイヤだと私も思います……。
■時代は細幅&大径へ……
大径タイヤ時代の先駆者といえる1台がマツダの初代アテンザ。2003年に、18インチタイヤが装備されたSport 23ZとSport Wagon 23Zが追加された。そしてその後も続々と大径タイヤを標準装備とするクルマが登場した。
しかし、当初はまだまだ大径タイヤはスポーツグレードや高級車の専売特許というイメージが強かった。そんなイメージを払拭したのが新型プリウスだろう。
新型プリウスの上位グレードであるZ、Gは195/50R19サイズが標準装備に。いわゆる「細幅&大径」ってやつだ。
先代のプリウスツーリングセレクションは215幅で17インチだったのに、新型では195幅で19インチ。先代から2インチアップとなり、標準とは思えない19インチに驚くが、逆に幅は20mmダウンしている。
横から見ると、ホイールが大きくなったことで迫力が増し、「すごくカッコよくなった!」と感じる。でも、幅はかなり細い(真後ろから見ないとわからないけど)。
細幅タイヤにするメリットは、幅が狭くなることで接地面積が減り、転がり抵抗は少なく、タイヤ重量も軽くなる。空気抵抗も少なくなるので燃費は向上する。ハンドル切れ角は大きくできるので、狭い道路の多い街中での取り回しもラクになる。
大径タイヤの最大のメリットは、やはり見た目がスタイリッシュになることだろう。また、扁平率を下げるとタイヤ剛性は上がり、走行時の変形量が少なくなるのでハンドリングはシャープに、転がり抵抗も少なくなる。結果、やはり燃費はよくなる傾向となる。
細幅タイヤにすることで少なくなった接地面積は大径化によって縦方向に伸び、グリップも犠牲にしていない。プリウスの細幅と大径はセットで考えられた結果なのだ。
細幅&大径・低偏平タイヤについては下記の記事も参考に。
国産車も「19インチ」は当たり前!! 大径タイヤ採用のメリットはスタイリングだけってマジですか?
今回はタイヤサイズについて話をしたが、「太くてデカい!」じゃなくて「細くてデカい!」がカッコイイと言われる時代がやって来た感じはする。皆さんはどう思いますか?
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