2024年は元旦から能登地震が起きたりと不穏な年明けになったが、災害はいつどこで起きるか分からない怖いものだ。だからこそ、もしもの時に役立つサービスを覚えておくのも悪くない。
文:西川昇吾/写真:Adobe Stock(トップ画像=mtaira@Adobe Stock)
■そんなのあるの? モビリティ・レジリエンスとは
そのサービスは日本カーシェアリング協会が提供しているサービスで「モビリティ・レジリエンス」と呼ばれるものだ。自然災害発生時に被災者や支援団体へ一定期間無料でクルマを貸し出す支援だ。
自然災害発生時には津波や土砂でクルマが流されてしまい、今まで普通に使っていたクルマが使えなくなることが多く見受けられる。
しかし、スグに別のクルマを購入することは誰にも簡単に出来ることではない。そんな反面復興には機動性の高い移動手段であるクルマが求められるのも事実だ。
そのような状況を踏まえると被災者や支援団体に無償でクルマを貸し出してくれるというのはありがたい支援だ。
この支援は約10年前から存在しており、今回の能登半島地震だけではなく、2016年の熊本地震や2021年の熱海市伊豆山土石流災害といった全国的にも取り上げられた自然災害はもちろん、記録的な台風や豪雨といった自然災害でも支援を行ってきている。
■スピード感のある支援と安心感のある車両
モビリティ・レジリエンスは今回の能登半島地震でも、地震発生の約2週間後となる1月15日から無償貸出を開始している。
そのスピード感にも驚かされる。支援開始から1週間で約350件の申し込みがあったとのことだから、やはり被災地では直ぐに使えるクルマが必要ということだろう。
提供される車両は寄付されたものが基本だ。SNSやメールニュースなどで寄付を呼び掛けたり、災害が起きた近隣の都道府県など現地で寄付募集を行ったりしている。
また、他の都道府県から被災地へクルマを運搬するのも、ボランティアを募っている。クルマの運転は「運転が好き」という人にはうってつけの支援活動かもしれない。
またタイヤやオイルといった貸し出したクルマを安心して使ってもらうためのサポート体制も整っている。
ヨコハマタイヤやダンロップ、ミシュランやハンコックといった国内外のタイヤメーカーも支援していて、車両手配や運搬、整備の分野ではオートバックスセブンが支援している。支援団体や企業で事前に整備などをしているため使用する人も安心なのだ。
■どんなクルマが必要かも重要
災害時に必要なクルマとは何か?そんな需要のリサーチを行っているのも好印象なポイントだ。1月5日から調査を開始しており、がれきの撤去や物資の運搬に役立つ軽トラックの需要が高いことをレポートしている。
単純な支援だけでなく、どんな車両の支援が適しているのかを知ることは重要であろう。使いにくい支援物資が届けられると困る、といった件がニュースになっていたりしたが、このような支援車両のミスマッチを防ぐためにもリサーチは大切だ。
今回の寄付募集の車両も「車検が3ヶ月以上ある」「2019年以降のスタッドレスタイヤを装着している」「安全な走行に支障のないクルマ」といった条件が掲げられていた。
時期や地域性を考えるとスタッドレスタイヤは必須と言えるだろう。現地で役立つクルマを支援したいといった気持ちが感じられる。
クルマに携わる、クルマが好きだからこその支援の形があるはずだろう。モビリティ・レジリエンスはそのように思わせてくれる活動だ。
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