軍用車であることが明暗を分けた? いくつもの不運が重なった結果なのよ……今のランクルが生まれた衝撃の事実に涙

■世界を舞台に高評価を得る

UAEの漁村で現役として使用され続ける50年以上前の40系ランドクルーザー。地面のあるところには必ずランクルが存在するといっても過言ではない!?
UAEの漁村で現役として使用され続ける50年以上前の40系ランドクルーザー。地面のあるところには必ずランクルが存在するといっても過言ではない!?

 オーストラリアは国を挙げてランドクルーザーを愛する。鉱山を筆頭に牧場、農場、鉄道、通信、警察、消防、行政機関で70系を中心に幅広く使われている。個人ユーザーも多く、広大な大陸をキャンプ旅行で楽しむ。「ランドクルーザーが止まれば国が止まる」という表現もあながち間違ってはいない。

 中近東は世界最大のランドクルーザーのマーケットだ。ランドクルーザーステーションワゴンを使って砂漠で遊ぶお金持ちはもちろん、油田や国境警備で使われ、漁業では地引網漁のロープも引く。

 アフリカは最もランドクルーザーを必要としている地域だろう。まさに国づくりに必須のクルマだ。鉱山などの産業用以外にも救急車、人道援助のNGO、国際機関などで活躍する。奥地に荷物を運ぶのに70系、人員輸送に300系やプラドが使われる。

 ランドクルーザーの開発担当者は2つのこだわりを持つ。現地で、現地の人に乗ってもらって判断する「現地現物」と、実際の環境で実車で試験、評価する「実車評価」である。

 また、トヨタ全体の設計や評価基準とは別のさらに厳しい「ランドクルーザー基準」に適合させている。

 さらに、「ランドクルーザー担当者の心得10か条」という、一言でいえば「ランドクルーザーは地球上で最後に残るクルマであると認識して開発せよ」という「憲法」もある。

 ワークホースの70系の改良の基本は、

1.変更しないで済むのであればさわらない

2.変更する場合は変更範囲をなるべく少なくする

3.変更した場合は今使ってもらっているクルマ(号口)と同じかそれ以上の性能を確保する(※「号口」とはトヨタ社内用語で現行販売モデルを指す)

 以上の3点であり「号口と同等かそれ以上」は至上命題である。

 ステーションワゴン系はKing of 4WDとして常に先進技術や最先端オフロード性能を求められるため、フレーム構造の存続を含めて将来の姿は見通せない。

 一方、ヘビーデューティ系の70系はいまやライバルが不在である。この先、各国の法規制変更にはしぶとく対応し改良が続き、このクルマでなければ暮らしていけない人、土地が存在する限り70系のままで生き残っていくはずである。

 どちらも目指すは唯一無二の存在である。

【画像ギャラリー】大地あるところにランクルあり!! 日本が生んだ本格派クロカンSUVトヨタ ランドクルーザーの歴史(37枚)画像ギャラリー

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