1991年9月、1990年代にあるべきグランドツアラー像を目指し、「4WDアヴァンギャルド」をコンセプトとした、稀代のスペシャルティクーペ、スバルアルシオーネSVX。現在、ネオクラシックカーはありえない高騰を続けているなかで、思ったほど値上がりしていない。アルシオーネSVXの中古を購入するのは、程度のいいものが少なくなってきた今が最後のチャンスかもしれない。
文/ベストカーWeb編集部 写真/ベストカーWeb編集部
■G・ジウジアーロがデザインした傑作車
海外のデザイナーを起用した日本車のなかで最高傑作と言われるのが1991年9月に発売され、1997年12月に販売終了となった、稀代のスペシャルティクーペ、スバルアルシオーネSVXである。
デザインを手がけたのは、イタルデザインを主宰していた、G・ジウジアーロ。航空機のキャノピーを思わせるキャビンやルーフ部分まで回り込む複雑な三次元曲面ガラスが採用されたサイドウインドウなど、今もなお世界的に高く評価されている。
ロー&ワイドを貴重としたスポーティなフォルムはCd値0.29という優れた空力性能を実現し、静かで快適な高速クルージングが味わえる。
搭載されるエンジンは、最高出力240ps、最大トルク309Nmを発生する3.3L水平対向6気筒エンジンで、ミッションは4速ATが組み合わされていた。
駆動方式は不等&不変トルク配分のVTD-フルタイム4WDで、乗り味は非常にソフトDE、ロングツーリングを得意としたGTカーに仕立てられていた。
■中古車価格は程度のいいものだと250万~300万円前後が中心
アルシオーネSVXは、基本的にカタログモデルであるバージョンLとバージョンEの2種類。フルオートエアコンや16インチアルミホイールを標準装備とし、上級グレードのバージョンLには4WS、クルーズコントロールや本革シートも備わっている。累計販売台数は5944台。
そのほか、富士重工業40周年を記念した特別仕様車S40(1993年11月、300台限定)、S40II(1993年11月、300台限定)、S40II(1994年7月)を設定。
なかでも1995年7月に設定された特別仕様車S4グレードの人気が最も高い。S4グレードはBBS製鍛造アルミホイールの採用やフロントグリルなどのエクステリアが変更され、運転席・助手席デュアルエアバッグを標準装備。インパネはVL/VEと同様の木目調に戻ったがインテリアはベージュ基調となっている。
アルシオーネSVXの新車価格帯2は83.6〜399.5万円。それに対し、現在の中古車相場は、約80万~448万円で、流通台数は20台。ひと頃に比べると減った影響があるのか、流通台数が100万円以上高騰している。
程度のいいものは走行距離5万kmほどが250万円くらいから、走行距離が3万Km代の最終型S4は300万円オーバー。1996年式・走行距離3.5万km=318万円、1995年式・走行距離3.9万km=318万円、1996年式・走行距離5.3万km・1オーナー=318万円といったところ。
最高価格は1991年式バージョンⅬ、走行距離2.8万Kmの1オーナー車で、価格はなんと448万円。大まかに見て極上車を買いたければ320万~350万円を見ておいたほうがよさそうだ。人生最後に、乗っておきたいと思った貴方、暴騰しているほどでもないので、今が購入の最後のチャンスかもしれない。
■スバルアルシオーネSVXバージョンⅬ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4625mm×1770mm×1300mm
●ホイールベース:2610mm
●車両重量:1620kg
●エンジン:水平対向6気筒DOHC、3318cc
●最高出力:240ps/6000rpm
●最大トルク:31.5kgm/4800rpm
●燃費:7.0km/L(10・15モード)
●399万5000円(1991年式バージョンL)
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